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第431話
夜壱
「ま、よっちゃんはお気に入りの先輩とお近づきになれた訳ね。良かったな」
「おう」
「は~俺も仲良くなりたいなぁ。美人な先輩とかさ~!よっちゃん誰かいないの~?」
「いねーよ。頑張れ」
「酷い……よっちゃんってさ、好きな子とかいないよな~」
「ん、今のところいない」
部室で着替えをしつつ潤と話すけど、そうだな……好きな子って特にいないかな。
可愛いとか綺麗だなって思う子はいるけど、別に付き合いたいとかそういうのはない。
それよりも正直、男子とつるんでた方が楽だし遊んでいたいと思う方だ。
俺はモテるけど、そもそも女子と話すの得意じゃないしなんて言うか面倒くさい。
女子に時間を費やすなら、萩生先輩と話してた方がいいなって普通にそう思う。
朝にメッセージ交換をしたあの後、ドキドキしながら『よろしくお願いします!』と一言送った。
すると次の休み時間に、よろしくのスタンプが送られてきて、嬉しくてたまらなかった。
白い犬のスタンプだ。
……可愛いな……
それからフレンド登録をしてから、萩生先輩とのメッセージのやり取りを一日一回はやるようになった。
たわいもない質問をしたりとかくだらない出来事を報告してみたりだ。
萩生先輩からは直ぐ返信は来ないけど、ちゃんと返してくれるし質問にも答えてくれた。そんな何気無いやりとりがとても心地好くて楽しい。
それに、学校で会うと笑顔で手を振ってくれたりするから嬉しくて顔が緩んでしまう。
だけどやっぱり萩生先輩はモテるんだと思った。
萩生先輩の周りには女子がいつもいて華やかだ。
先輩も女子と楽しそうに話しているから、結構女好きなんだろうなとか思ってしまう。
可愛くて性格もいいんだからモテ無い訳ない。
そう思うと、何故か切なくなる自分がいた。
だけど、
「あ、篠島~~」
萩生先輩だ!
ヤッホーって声かけてくれるって最高嬉しい!
教室移動の時に、すれ違いながら萩生先輩に手を振り返した。
だけど、その時に感じる視線。
それは前から気がついていたけど、何なんだろう。
ジロジロと観察されているような、余り気持ちよくない視線だ。
それは萩生先輩の隣にいる奴からいつも向けられていた。
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