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第434話
その後、霧緒にメッセージを送信した。
テスト明けの休みに、クラスの皆と一緒に出かけてもいいかと言う内容だ。
ざっくりと……だけどね。
これでオッケーなんて貰えるわけないと思ってるし、詳細をどう説明しようかと考えてみる。
今はテスト前で、霧緒が時間ある時はテスト勉強見てくれていて、この後も霧緒の家に行くからその時に話してみよう。
友達皆と出かけるって殆どないし、夢の国は行ってみたいなぁ~って思うのだ。
大人数でワイワイしながらテーマパークに行くなんて楽しいだろうなって……霧緒とも行ってみたいけど、それとはまた違う楽しさがあると思うから。
去年、玲二の弟、類の件があってから、恋人から心配されるのは嬉しいけど、俺全然大丈夫だし!
あんなレアなことはもう起こらないと思うし!
俺、霧緒ラブだから大丈夫だしっ!
そう思いながら拳をギュっと作ってみるのだ。
そしてその日の夕方、宮ノ内家にお邪魔した。
「これ、鍋ごと持って来た。ミネストローネだって~。ばあちゃんが珍しくイタリアン作ったんだよね。でかいトマトを沢山貰ったみたいで、暫く椿家はトマト尽くし~」
宮ノ内家は友子さんが帰って来てから少し変わった。
何が変わったかというと、椅子に上着が無造作にかけられていたり、ソファーに白い上着がバサッとかけられたり、床に美しい赤いバッグが転がっていたり?ブランドの紙袋がそのままリビングに置かれていたり……
全て友子さんの物だというのは一目瞭然で、そんな感じで、はっきり言って散らかるようになっていた。
霧緒もそれを片付ける感じはないし、性格的にというか、習慣で気になるのは俺の方で……
「母さん、今日も遅いみたいだから」
そう言いながら、霧緒はあったかいカフェオレが入った俺用のマグカップをカウンターに置いてくれる。
「ほー。そうなんだー」
「……って、あいつの片付けてないで座れよ」
「うん、ちょっと……ハンガーにかけるだけ。友子さん、相変わらず仕事忙しいそうだね~」
「まぁ、日本に帰って来たからといって落ち着くわけないよな。基本せっかちだし……」
「凄いね~。仕事が楽しいんだな」
カウンターに置かれたマグカップを手にしてソファーに腰掛け、温かいカフェオレを一口啜った。
いつものやつより甘い気がして、とっても美味しい。
俺の隣には霧緒が先に座っていて、何気にずっと見られていて、ちょっと恥ずかしい……
そんなに見られると、なかなか顔を見れないんだけど。
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