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第442話
なっち
俺、宮ノ内先輩の代わりに萩生に変な虫が寄ってこないか見てます!
最近密かにそう思うようになった俺。
萩生はほんわかしてるけど、一年の時にあの美女の緑川先輩と噂があったこともあるくらいの奴で、新しいクラスの女子からも好印象。
話しやすく愛嬌もある。地味な奴かと思いきや、女子の懐に自然に入ってくるし、良く見ると可愛いらしい顔してて、「侮れないわ萩生」と、腐女子のニコラが言っていたのを思い出した。
成る程、女子って良く見てるな。
確かに萩生ってそうかも……
だけど、今俺が気にしているのは、女子じゃない。
あいつだあいつ。
一年の篠島夜壱。
正統派イケメンって感じで、悔しいが顔がいいしスタイルも良い。
そいつは何故か萩生と仲が良いみたいで、校内で萩生とすれ違うと、超嬉しそうに話しかけて来る。
目立つイケメンのくせに、あどけなさ残る笑顔は爽やかで、ちょっと注意が必要だ。
あの萩生に向ける態度は憧れとか尊敬であって欲しいけど、あの萩生に?それがあるとは思えない。
身長も見た目も篠島が勝ってるから……そうなると……
「……篠島に、狙われている」
「え、何?なっち?」
「あ、いや、何でもない。いやーゆっぺが今日も無事でなによりだわ」
「はぁ?お前大丈夫か?」
「何でも!あー!愛しのゆっぺくん!学校終わったし、駅行ってデロデロバーガー寄ろうぜ~」
学校帰りは、ゆっぺと一緒に帰ると決めているから、下校の一時が俺の唯一の楽しみだ。
萩生のことは空にぶん投げて、目の前の好きな奴に思う存分抱きつきじゃれる。
ぎゅうぎゅうしても、ゆっぺもこういうのは慣れてしまったのか、最近抵抗しなくなった。
はぁ~嬉しいやら悲しいやら……
だけども~う少し、俺のこと意識して欲しいんだけどな。
恋愛対象としてさ……
「あーあ、俺もなっちのクラスだったら良かったなぁ」
「お、俺がいなくて寂しいか」
「寂しいよ」
「……っ」
「それになっちのクラスには萩生だっているし、隣のクラスには屋内もいんじゃん。眺めてキュンキュンしたい~。今身近に萌えがないからなっちが羨ましいわ~」
「…………そこかよ、この腐男子が。はいはいどうせさ、俺なんかよりあいつらの方が好きなんだろ」
「は?あいつらとなっちは違うだろ?好きとかじゃないし、ただのBL萌え対象」
フフンと笑うゆっぺの笑顔がこれまた可愛いこと!だけど……
「あいつらと俺は違うってことは、どういうことさ」
「え」
「……」
「と、友達……だろっ」
「ふぅん」
……な、何で友達って言うだけで、赤くなってるのかしらゆっぺさん?
顔赤いから、ドキっとしてふざけることができなかったじゃん。
……そんな顔して友達言われたら、友達以上になれちゃうかもって期待するだろバーカ。
「なぁ、ゆっぺ的に年下攻めってどうなの?」
「お、なんだ?年下攻め好きだよ!嫌いじゃないぜ~」
「萩生が新入生に狙われるってのどうよ?」
「おー!何何なにそれ」
ゆっぺがネタで喜んでくれると嬉しい。
萩生にくっついてデェズニーランドに行くのに立候補出来たのはラッキーだった。
いやぁ地獄耳で良かったぜ。
宮ノ内先輩と萩生の関係は言わないし、先輩に敬意を払って萩生のことは一応見守るけど、基本お前はBLネタとして、存分に観察させてもらうからな!
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