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第443話 夢の国

夜壱 「篠島くんって、身長いくつ?」 「どの辺に住んでるの?」 「好きな食べ物なぁに?」 「中学の時モテたんじゃない?」 「ねぇ彼女いないのー?」 …… 「えーと、いない……です……」 「きゃー!そうなんだー!」 きゃー!って何だ? もう彼女からずっと質問されまくってるんだけど! テストが終わり、待ちに待ったデェズニーランド当日はとてもいい天気だ。 朝からウキウキ早起きして、皆で行ったはいいけど、メンバーの女子三人の内の一人から、かなり積極的にアプローチされていて俺は困っていた。 予想はしていたけど、やっぱりって感じ。 ……今回俺が呼ばれたのって、こういうことだよな。 女子からのご指名だった訳……ね。 萩生先輩がこのことを知っていたかどうかは分からないけど、無駄にため息が出てしまった。 アトラクション乗る時も、いつもその彼女と一緒にされるから正直うんざりなんだけど。 ……上手く喋れないし、疲れる。 「おお~!城がライトアップされた!」 だけど夢の国にいる萩生先輩は眩しくて…… 「あぁ……ケモ耳つけた先輩。マジ癒しです」 「お、何だ。俺に癒されるって?」 「あ、仲島先輩じゃないです」 「お前……朝会った時の謙虚さはどうしたよ~」 「仲島先輩もかわいっすよ。かわいっす」 「……心から言ってないだろ!」 日は徐々に傾き始め、女子が長い買い物をしている間、店の外でそれを待っているケモ耳男子。 萩生先輩はライトアップされた景色をスマホでパシャパシャ撮っていて、ぼーっとしている俺の隣には、萩生先輩の友達の仲島先輩がいた。 以前から俺に怪しい視線を送っていたのはこの先輩で、てっきり嫌われているのかと警戒していたんだけど、そんな事はなかった。 「篠島ってさぁ、もっと女慣れしたチャラ男かと思ってたらそんな感じでもないのな」 「え」 「んお?そうなの?」 「だってこんなにイケメンなんだぜ~?彼女の一人や二人いてもおかしくないだろ?」 「はあ?……そんなのいませんよ……俺、基本女子苦手だし」 「へーー苦手ってどういう意味?」 「……あーー!萩生せんぱーいっ……マジ癒しっす」 キョトンとした顔で俺を見つめる萩生先輩は可愛くて、疲れていたのもあって思わず引き寄せ抱きついてしまった。 「うおぉっちょ!?しのっしま?」 「あ!篠島っ!何してンだよ!萩生にそれはヤバいって!有料有料~!」 「良いじゃないですか、減るもんじゃあるまいし。俺疲れてるんで~~」 ケモ耳つけた期間限定の萩生先輩を、女子がいない間に堪能しておかないと、最後まで身が持たない。 遠慮してる場合じゃないし、勢いでいかないとこんなことはできそうになかったから。

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