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第445話

夜壱 萩生先輩の首筋にキスマークなんて事件だ。 一体どんな子がつけたんだ。 男の首につけるなんて、かなり情熱的だし大胆過ぎる。 「あっれ~?篠島~萩生のキスマーク見てちょっとショック受けてンの?キスマークじゃないかもしれないのに」 「…………だって……あんなに慌てて隠すとか、虫刺されじゃないでしょ。はあ~萩生先輩、彼女いたんですね。全然知らなかったっす……」 女子と仲良さげに話す萩生先輩を眺めながら、無意識にため息を吐いた。 女子とあんなに自然に、しかも楽しそうに話せるって俺にはできない。 俺は見た目は女慣れしてそうって言われるのに、話すと緊張してしまってテンパってしまうから。 凄いなぁ……萩生先輩は。羨ましい。 ……この中のメンバーに彼女がいる感じでもないしなぁ。 どんな子なんだ……先輩はその子のこと、当然好きなんだよな。 ズシ…… なんだろう……スゲー面白くない。 全然面白くない。 あんなにほんわかした萩生先輩が誰かのものだなんて。 先輩に毎日癒されてた俺は一体何なんだろう。 そう思うと急に悲しくなって来てしまった。 「篠島く~んどうしたの?」 駆け寄って馴れ馴れしく腕に手を添えてくる彼女。 「……別に何でも。あ、俺ちょっと買うものあるの思い出したんで、先に行ってて下さい」 「買うもの?」 「……彼女のお土産です」 「え?」 「すみません。俺本当はつき合ってる子いるんですよね。えーと、嘘ついてごめんなさい」 彼女なんかいないけど、嘘をついた。妙にイラついてしまい、もうどうでも良くなってしまった。 1日俺にベタベタしていた彼女はショックを受けていたみたいだけど、気持ちに余裕なくてフォローする気にもなれない。 団体行動しているのも急に馬鹿馬鹿しくなり、買う気もないのに一人グループから外れてショップへと向かった。 はぁ~妹のお菓子はもう買ってあるから買うものなんてもうないし! 彼女なんていねーし! 何やってんだ俺。 「……ダッサ……」

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