「えー！」 お、教えて下さいって！ どうしたらいいんだ！ 篠島に悪いことしたって思い、追いかけて来たけど、彼女がいたのは嘘だった。 ホッとしたのもつかの間、何故か俺は篠島からつき合ってることを追及されるはめになってしまった。 しかも、結構ぐいぐい突っ込んでくるー。 「篠島って……そんなキャラだっけ」 「そんなキャラです。正直言ってちょっと拗ねてるんですよ。萩生先輩とは結構話せてるって思ってたんで、彼女がいるならもっと早く教えて欲しかったです」 がっかりした様子の篠島を目の当たりにして、若干の罪悪感が生まれる。 確かにメッセージも頻繁にしたり何気ない出来事ばかりだけど話をしてきた。 その中で恋人がいるという話は1ミリもしていない。 ……だ、だって気軽に話せないじゃん。 気軽に言えるおつき合いじゃないんだけど！ 「お、俺……電車あっちだから……」 「は？何言ってるんですか。俺と駅同じでしょ。逃げないで下さい」 「えーん！」 今日１日篠島といて分かったことだけど、篠島は女子と話してる時と、俺ら男子と話している時と態度が全然違う。 女子と話している時は、凄く気を使いながら喋っていた感じなのに、俺や仲島とはかなり気軽に話していた。 そして今や遠慮ない突っ込みと、胸に背負ったリュックを掴まれ、逃げることすら許されない状態で電車へ乗り込むはめになってしまった。 「あぁ……朝の優しい篠島はどこに行ったんだ……」 「すみません。疲れてくると余裕なくてこんな感じになるんです」 「マジかー」 「マジです、すみません。で、どんな感じなんですか？」 「どんな感じ？」 「彼女ですよ。可愛い系か美人系か」 「むむ……」 車内は混んでいる為、立ちながら小声で質問をしてくる篠島との距離は近い。 ううう……可愛い系美人系かと問われたら…… 「び、美人系…………かなぁ」 小さな声で、ぽしょりと呟いた。 あの人……女じゃないけどね！顔は可愛いというよりは、整いすぎてるから美形……美人の部類だと思う。 当たり前だけど、篠島は俺の恋人は女だと思っているから、どう答えたらいいのか……困るよー！