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第449話
だけど、嘘をつくのも嫌だから篠島にはこの追及を諦めて欲しいんだけど、そんな気配はなかった。
「へぇ……美人系なんですか。年上だし先輩って大人な人がタイプなんですね」
「う、うん……そうなるの……かな」
タイプって言うのかな?好きになったのがたまたま霧緒だったってだけなんだけど、タイプと言われると不思議な感じがする。
まだ、あいつバイト中だなぁ。
今日は夢の国の帰り際に、霧緒がバイトしている喫茶店に寄る予定になっていた。
……早く会いたいなぁ。
会って今日あった出来事を沢山話したい。
お土産渡して、撮った画像見せて報告するんだ。
色々見て体感して夢の国を存分に楽しんだけど、アトラクション乗るたび、美しい景色を見るたびに思ったのは霧緒のことだった。
二人で来たらもっと楽しいんだろうなとか、一緒にこの綺麗な景色を見れたらいいなぁって。
友達との一時は勿論楽しいけど、それを満足するまで味わったら、急に恋人に会いたくなってしまった。
俺ってワガママかな?
それですっごくぎゅって抱きしめてもらえたら嬉しいんだけど。
「先輩、話聞いてます?何ニヤニヤしてるんですか」
「え、してないよ」
「今絶対彼女のこと考えてたでしょ」
「そんなことっ」
はい考えてました!しまった顔に出てたか!
隣斜め上からの視線を感じ、ちらりと見ると篠島とバッチリ目があった。
やっぱりこやつ、整った顔立ちをしているなぁ。
少しへの字に曲げられた唇は厚めでカッコいいし、鼻筋は真っ直ぐでシャープだ。
うおう……じっくり見てしまうくらいイイ男。
「篠島ってさ、カッコいいからモデルとかやれそうじゃない?」
「え」
「そういうの興味ないの?」
思ったことを素直に聞いてみただけなんだけど、篠島はうつ向いて何故か照れていた。
「はぁ……興味ないです。俺、性格的にそういうの向いてないし」
「ふーん、そっか~。身長あるし、結構いけると思うんだけどなぁ」
「俺のことなんかより、先輩の話ですよ。これから彼女に会うなら俺も会いたいです」
「ええっ!!?」
車内にいるのに、つい声が大きくなってしまい、周囲からとっても注目を浴びてしまった。
なんてことを言うんだこいつは!
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