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第453話
は?
はぁ??
え、なんで?どうしたどうした!?
どうしてここに篠島がいるんだ?
「な、ななななんで……こんなところに」
「あ、萩生先輩気がつきました?」
「き、き、」
「やっぱり、どうしても気になっちゃって。来ちゃいました」
悪びれた様子もなく、爽やかな笑顔で篠島は隣に座っている。
ちょっと待って、何でここにいるんだ?
駅前で別れたはずだし、篠島の家はこっちじゃないはず!
「え、この店知ってたの?」
「知らないですよ。へぇーこんないい感じの喫茶店あったんですね」
「じゃ、どうしてここに!」
「…………先輩ってちょっと天然?」
「いらっしゃいませ」
コトリ……と、水の入ったグラスが隣に差し出された。
……ズゥン……
あれ、急に温度が下がった?
冷気?
体感温度が下がった原因は、勿論わかっている。
原因の人物が目の前にいるのに、俺はそいつの顔を見ることができなかった。
そしてお久しぶりの、どす黒い何かが放たれる。
「えーと、コーラフロートお願いします」
「かしこまりました」
あわあわを通り越した俺の頭の中は真っ白で、どうしたらいいのか分からずにいた。
篠島は店内を見渡しながら、ふーんとかへーとか呟いている。
「居心地良さそうな店ですね~。萩生先輩良く来るんですか?」
「し、篠島っ!もう良い子は帰る時間じゃないか?」
「え、何ですかそれ面白くないですよ。あれ、萩生先輩の彼女まだ来ないんですか?」
「え!」
「よく考えたら、俺って今日一日よく頑張ったと思うんですよね。最後は女子に悪いことしちゃったけど、それなりに楽しめたんじゃないかなぁって。そんな頑張った俺に、ご褒美があってもいいんじゃないかなぁ~って」
「ご、ご褒美……」
「そ!だから先輩の彼女さんに会いたいと思って、ここまで来ちゃいました。ここで待ち合わせしてるんですよね?」
「あーーーその……えと……」
「お待たせしました、フルーツサンドとカフェオレです」
「へーーーーーーあ、ありがとう……ございまーす……」
目の前に食べたかったフルーツサンドが置かれる。
あれ?どうしてだろう。
あんなにあった食欲が今全然ない。
スゲー腹ペコだったのに。
おかしいなと思いながら、恐る恐る目の前にいる店員さんの顔をチラリと見ると、あらあらびっくり。
この世のものとは思えない、妖艶な笑みを薄っすら浮かべていた。
あぁあああぁ……
口元は笑ってるけど、目は笑ってない。
全然笑ってない。
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