455 / 506
第455話
「俺、一年の篠島っていいます。萩生先輩には色々仲良くさせてもらってて」
「今日、一緒だった?」
「はい!皆でデェズニーランドに行って来ました!」
「そう……デェズニーランドは詩も楽しみにしてたもんな」
「え!う、うんぐ……っ!し、してた!楽しかった!」
話を振られて焦った!
フルーツサンドに挟まってたキウイフルーツが喉に詰まりそうになって、まるごとごっくんしてしまった。
「はぁ~……やっぱりカッコいいですね。学園祭の時、女の子たちの黄色い声が凄かったの覚えてます。えっと、宮ノ内……先輩でしたっけ」
篠島がコーラフロートを飲みながら、霧緒の胸についているネームプレートを見て確認する。
「そう」
「……萩生先輩が、宮ノ内先輩が働いてるお店に来るってことは、二人仲良いんですね」
「まぁね」
「ふーん、羨ましいなぁ」
「……」
「じゃ、宮ノ内先輩は当然知ってますよね?萩生先輩の彼女さんのこと」
「っ!」
「……彼女?」
「そう、萩生先輩の彼女。年上で美人らしいんですけど、それ以上先輩教えてくれなくて」
「…………」
……年上、美人……あってますよね……
「この後会う予定だからって聞いて、俺も会いたいって言ったんですけど、凄い人見知りだから会わせられないって言われて。」
「人見知り……」
……人見知り……は無理がありますか?って篠島……お前喋り過ぎじゃないか?
俺に何か恨みでもあるのか?
そんなことをそいつに喋ったら、後々大変なことになるんだぞ~!
刺激するな~!
「彼女……ね。こいつに彼女なんかいないぞ」
「え」
!
無表情にそう呟いた霧緒の声にハッとした。
そっか!いないって霧緒が否定したら説得力あるし、誤魔化せるかも…………っ!
ぐ…………
そう思った瞬間、霧緒の手が伸びてきて何故か俺の唇に触れてきた。
へ?
なんだ、どうしたって数秒間思いながらも、俺を見つめる霧緒から目が離れない。
笑ってる……
表情がやけに色っぽいし、優しく微笑む霧緒の瞳が俺を見つめていて、なにそれ……超……超……
カッコいいっ!!!
「クリーム……ついてるぞ」
そう言いながら指で俺の唇を拭い、その指先をペロリと舐めたではないか。
な、な、な!!!なーーーーーー!!!!
「ま、そういうところも可愛いんだけどな」
ポンポンと頭を撫でられた気がしたけど、興奮し過ぎて記憶が定かではなかった。
ともだちにシェアしよう!