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第460話

お昼前にデェズニーのお土産を手にして、宮ノ内家へと向かった。 「あら!詩くん!いらっしゃーーーい」 「友子さん、こんにちは。あの……霧緒は……」 「霧緒、10時頃かしら?出掛けて行ったわよー。行先は私聞いてないんだけど、詩くんは聞いてない?」 「え……あ、はいぃ……」 「上がって上がってー!昨日は楽しかった?デェズニーランド行って来たんでしょ?いいわよね~私も行きたいわ~夢の国!」 「はい、とっても楽しかったです。あ、これお土産です」 「えー!いいのにー!って、なんて可愛い!」 「中身はおせんべいなんで食べてください」 「ありがとう!大事にいただくわ~!お茶入れるからそこ座って~」 「あ、ええと……友子さん、お、お気遣いなく。俺もう帰るんで」 「やだやだ、気を使ってもらわなくてもいいのよ!もう安定期に入ったから全然動けるし食べれるし!」 「?」 「周りが凄い心配するんだけど、つわりも軽いから全然元気なのよ~!」 「え、つわり?」 え、空耳かな?今聞きなれない言葉を友子さんが発したような…… 「?」 「?」 「あら?霧緒から聞いてない?私のお目出度の話」 「え、ええええ!!!お目出度?」 「うっそ!やだぁ!?じゃ、留学の話もまだ!?」 「りゅ、留学?」 ……!?……は? 留学って……留学?疑問系の俺の言葉を聞いて、友子さんは目を見開き驚いた表情をしていた。 「うあっ!……やだぁ……ヤバい……ま、不味った……」 「留学って……霧緒が?」 「…………うあぁ……ごめーん!あの子、昨日詩くんに話すって言ってたから、てっきりもう聞いてるものだと……聞かなかったことにして~~~!」 「……え、え……待ってください!頭混乱……友子さん妊娠されてるんですか?」 友子さんは緩いワンピースを着ているので、体型がわからない。 見て見て!と言いながら、手で撫でてお腹のラインを見せてくれると、確かに少し下っ腹がふっくらしている。 「そうなの。高齢で何か起こるか分からないから報告は控えていたんだけどね。ほら、ぬか喜びにさせちゃうのも申し訳ないじゃない?この間病院行った時に、ようやく落ち着いたって言われて、椿さんや詩くんに報告できるわってなったんだけど、霧緒が自分から伝えるって」 「……それって、それって……汐里さんとの……」 「勿論~~!あの人がパパって変な感じよね!」 「わぁ~!わぁ~!おめでとうございます!……赤ちゃん……かぁ」 「……ふふふ。ありがとう」

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