468 / 506
第468話 *
霧緒
事後のへろへろになった詩の後ろ姿を眺めていると、改めてこいつのことが好きだと実感する。
さすがに中に出すことはできないから、ゴムはしたけど、作れるものなら孕ませても構わないと思った。
ガンガンセックスして、俺と詩の子ならそれは全然有り。
詩似~の可愛い子ならwelcomeだ。
……って、実際にはいらねぇけど。
俺には詩だけがいればいいし……
詩の汚れた箇所をキレイに拭いてやり、下着やパンツも穿かせてやる。
こんな時はいつもぼーっとして、されるがままになっている詩がまた可愛いと思ってしまう。
ベッドに座り、身体を引き寄せて頭にキスをした。
詩から伝わってくるぬくもりがいとおしくて仕方がない。
汗で少ししとれた前髪を、軽く指先で整えてやる。
くすぐったそうにしながら瞬きをする大きな瞳と目が合った。
「ふふふ」
「……なんだ、その笑い」
「霧緒が優しいなぁって思って」
そう言いながら、俺の肩に顔を擦り付けてくる姿がまた可愛くて堪らない。
笑い方が「ふふふ」から「ぐふふ」と変化し、肩から胸に顔を埋め、スハスハと俺のシャツの匂いを嗅ぎ始める。
その様子はまるで何かの動物に見えた。
……そういえば、初めてこいつと出会った時、俺の事を獣って叫んでたな。
嬉しそうに俺の匂いを嗅いでいるお前の方がずっと獣みたいだぞ。そう思った。
あぁ……犬ってこういう感じなのかな。そう詩の身体を抱きしめ、柔らかな髪を撫でてやる。
頭を撫で耳をなぞりながら顎を掬い上げ、現れた詩の唇に自分のを重ねた。
ちゅ……
と、リップ音をわざと立ててから、クリっとした茶色い瞳を見つめ、恋人の顔をじっくりと堪能した。
「…………な、な何でしょうか。は、恥ずかしいんですけど」
「……ン?そう」
「そうだよ。イケメンにそんなに見られると……」
「顔赤いぞ。いい加減慣れろよ」
「……え、慣れ……慣れますかね」
「…………まぁ」
まぁ、慣れない方がリアクション面白いからいいか。
「え?」
「……いや。留学の話、黙ってて悪かったな」
「……」
「言おう言おうって思ってたのに、なかなか切り出せなくて」
「……うん。もっと早く聞きたかったよ。夏ってもう直ぐじゃん」
「ン」
ともだちにシェアしよう!