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第470話

「……」 「霧緒にはちゃんとした目標があるんだから、それに向かって行けばいいんだよ。俺はほら!とりあえず高校生らしく学校毎日行って、勉強頑張ってってやるから。あ、霧緒が心配しないように友達関係も気を付けるから!うんうん!」 「は?本当にできるかどうか」 「できますー!つか、俺よりも霧緒の方が一人で寂しくなちゃうかもしれないだろ!大丈夫かよ」 こういう時は本当は寂しいなんて言えない。そんなワガママは言ってられない。 前を向いてる奴の背中を押して応援してあげないと!それが大切な恋人なら尚更だ。 頭の整理はついてないけど、自分ができることをしてあげたいと思う。 「……そうだなぁ。ま、あっちに行ったら勉強ばかりしてるだろうから。あっという間だと思うけど……」 「うんうん」 「でも、詩にはたまに夜這いに来て欲しいかなぁ」 「は!」 「そういう時はロンドンまで飛んで来いよ?」 「はぁあ!?」 「ぷ、なんて冗談だけど、俺がいないからって、浮気したらただじゃおかないからな」 「それはこっちのセリフだ!イケメンだからって、変な女に男に引っかかんじゃねーぞ!」 「はいはい。そんな心配よりも」 「……な、何……」 ぐいっと霧緒の顔が近くなり、再び慌てる。 だけど真剣な顔で見つめられて目が離せなくなってしまった。 整った綺麗な唇で、色っぽく囁かれる。 「オナニーしたいときは連絡くれよ?ちゃんと手伝ってやるから」 「…………」 「俺の指示通りにやればすぐ気持ちよくなるし、きっとスゲー興奮するはず。詩、なかなか自分で自分のイイとこ探せないから手伝ってやるよ」 かぷ…… そう囁かれながら、唇を甘噛みされた。 !!!!!! 「……!!!ばばば馬鹿野郎ーーーーーっっ!!!」 何て恥ずかしいことをっ!!こいつは言うんだ! そんな美顔でそんなエロいことを普通に言っちゃうこの男! 頭に来るけど、恥ずかしいけど!当たってるけど!くそーー!カッコいいっ!もう!馬鹿っ! 憤慨して見せた俺がいたけど、心の底から怒っているわけではなかったので、直ぐに真面目な話を再開することができた。ぷりぷりしてたけどね! 留学の詳細とか、友子さんの妊娠の話、汐里さんが宮ノ内家に引っ越ししてくること等々。 霧緒がお兄ちゃんになるって、本人は実感はまるでないって言っていたし、ましてや汐里さんが霧緒の父親になるなんて理解できないとか文句を言っていた。 だけどそれでも以前と比べて、霧緒と汐里さんとの距離が近づいているのは感じ取れた。 留学先で迷っていた時、色々話を聞いてくれてアドバイスしたり動いてくれたのは汐里さんみたいで、それを素直に受け入れた霧緒がいた。 一年前はあんなに敵視してたのになぁ。 霧緒から頼りにされて、汐里さんも嬉しいだろうな。 寒い日も暑い日も、霧緒はこの広い家で一人で暮らしてしたけど、今はお母さんの友子さんがいて、汐里さんも引っ越しして来て、12月にはなんと赤ちゃんが生まれて賑やかになる。 霧緒は暫くイギリスに行っちゃうけど、家族がいてくれるのって、実はとっても心強いことだと思う。寂しいって気持ちも半減されるはずだ。 帰って来る場所と、待っていてくれる家族がいるのって嬉しいよな。 俺も霧緒を精一杯応援するし、少しでも支えてあげられたらと思う。 心配されないように、俺もしっかりしないと!

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