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第475話
夜壱
うっすらと笑みを浮かべた宮ノ内は、妖艶に目を細めて俺を見つめていた。
ム、ムカつくー!!
色っぽさ満載でドキドキしてしまい、奮い立たせた気持ちがぐらつく。
「あー!そうですか!イケメンマジムカつく!もう二度と来ませんから!」
そう言い捨ててその場を後にした。
季節はもう夏になるので、夜でも寒さは感じない。むしろ蒸し暑いくらいだ。
夜の暗い歩道を歩イライラした気持ちで歩く。
イケメンにどや顔であんなこと言われたら、ぐうの音もでない。
……だって悔しいけど、宮ノ内の方がレベルははるかに上だから。
外見もだし、聞くところによれば頭も良くて名門大学に通っているとか。
「はは……あり得ないわ~」
勝ち目なんてないのに、何本人に宣言しに行ってるんだ俺は。
今頃、宮ノ内に笑われていることだろう。
あんなクソガキがこの俺様に何言ってんだか。
そう思われてるんだろうな。
だけど、言いたかった。
俺だって萩生先輩のことが好きだって、知って欲しかったんだ。
スゲー睨まれて緊張もした。
宮ノ内が萩生先輩のことをマジで好きだっていうのが伝わってきて、正直怖かった。
はぁ……
……いいなぁ……あの二人、両思いかよ……
ぶっちゃけ羨ましいったらない。
キスマーク付けるくらいだから、普通にヤってんだろうし。
……
……
男同士のセックスって、あそこ使うんだよな。
や、やっぱり宮ノ内が入れる側だよな……萩生先輩のあそこに……
あ、あんなとこに入るのか?
……あ、ヤベ……ダメダメ!
これ以上の想像はダメだ!
萩生先輩のイケナイ姿が頭に浮かんできてしまい、ブンブンと頭を振った。
……先輩は俺が思っているよりずっと大人なのかも?
だけどいつもほんわかしていて明るい先輩からは全く想像がつかなかった。
あんなイケメンがマジで好きになるんだもんなぁ。
宮ノ内は萩生先輩のどこに惚れたんだろうな。
ライバルなのに、ふとそんなことが気になってしまった。
……ちっ、ダメだダメだそんなんじゃ!
もっと敵意を向けて挑んでいかないと勝ち目なんかない。
ライバルに宣言はした。
友達としてじゃないと萩生友達の近くにはいられないから、露骨にアプローチできないのは仕方ないけど、隙あらば狙って行くつもりだ。
もうあの喫茶店に行くこともないだろう。
そう思いながら家路に着いた。
……
マジで二度と行くことないと思ってたんだけどな。
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