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第477話

夜壱 可愛い子が接客してたら…… た、確かにそんな子がいたらまた来ようって思う。 店長!早速ご新規さん獲得してます!あなたの狙い通りです! ……あの店長なかなか侮れない。 宮ノ内は、不愛想でも遠目で見ても目を引くくらいイケメンだ。 クールな美形でムカつくけど、確実に宮ノ内目当てで来ていた客はいただろう。 萩生先輩は宮ノ内とは全くタイプが違う。 萩生先輩をイケメンかと問われればイケメンだ。 目が大きくクリっとしていて童顔の部類だから、カッコいいというよりは可愛い系。 可愛くて柔らかい雰囲気を纏っているから話しやすいし癒される。 そんな先輩に惚れた俺だから常連間違いなしだ! もうずっといたいし撫でたいしずっとくっついていたいって思う。 リアルで撫でたりくっついたりができないのが残念だけど、そんな癒されキャラの先輩がこの喫茶店でバイトするのなら、確実に人は集まる気がする。 ……でも、あいつがよくOKしたもんだなぁ。 すでにあいつ呼ばわりしている宮ノ内のことを思い出す。独占欲強そうだから、こういう接客とかさせるのNG出しそうなのに。 …… そう言えば、ここのバイト辞めたのってどういう理由なんだろう。 もっと割のいいバイト先を見つけたのか、それともバイトしている余裕がなくなったのか……あんなイケメンだし、ストーカーみたいな変な客とかいたのかな? 「アイスコーヒーお待たせしましたー」 アイスコーヒーを持ってきてくれた、先輩の笑顔は眩しくて、胸がキュンとする。 やっぱりいいなぁ。 「あざっす。あの……宮ノ内先輩ここ辞たじゃないですか。何でですかね?どっか別でバイト始めたんですか?」 「あー霧緒今イギリスに行ってるから。それでここ続けられなくて俺とバトンタッチした感じ。丁度俺もバイトしたいな~って考えてたから、じゃここどうだ?って勧めてくれたんだ」 「そうなんですか。イギリスって、旅行とか?」 「んーん、留学」 「……りゅ、留学?」 「そ」 「ど、どれくらい」 「一応3ヵ月って言ってた。向こうで建築の勉強したいんだって」 「へーーー留学……イギリス……って、先輩たち離れ離れじゃないですか!」 マジか!あいつがいない!日本にいない! 日本にいないなんて、これは先輩に近づくチャンスじゃないか!! 「あはは!そうだけど、3か月なんて直ぐだよ~!」 「そんなこと言って~寂しくなっちゃうんじゃないですか?」 「連絡できるし大丈夫だよ。バイト始めたし、俺は俺で頑張らないとって感じかな」 爽やかな笑顔でへへへと笑う先輩はやっぱり可愛い! 「じゃ、先輩がバイトしてるなら売り上げに貢献しますよ。ちょくちょく来ますね!」 「おおー!ありがとう!霧緒から篠島はもうこの喫茶店には来ないって聞いてきたからそう言ってくれると嬉しい!」 「……来ないって言っても、ここの喫茶店が悪い訳じゃないし、た、たまたま通りかかったら先輩がいたんから入ったまでです」 たまたま通りかからないけど! 何となく何とな~く気になってちょっと様子見に来ただけだ。 ここの珈琲、美味しいって思ったし。 だけど来て良かった! 学校以外で萩生先輩に会えるなんてマジで嬉しい! 先輩は誘っても二人じゃ警戒して(それか宮ノ内に会うなって言われているか)会ってくれないし! それにあいつがいないなんて、これは幸運が舞い込んで来たとしか言いようがないだろ! ……不思議だなぁ。 アイスコーヒーを飲みながら他テーブルの注文を取っている先輩の姿を眺めた。 先輩がこの喫茶店にいるだけで、店の雰囲気が変わった気がする。新鮮でキラキラしている。 何かこのアイスコーヒー、シロップ入れてないのにスゲー甘く感じるんだけど。 萩生先輩が持って来てくれたからだなぁ。 そんなことを思いつつ、俺は接客している先輩の爽やかな笑顔を眺め、見とれていた。

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