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第480話

接客するとき注文をちゃんと取れるかとかでドキドキしていていたから、そこまで考える余裕はなかったりする。 え、いい感じだった? どの辺が!? 会話は今みたいに出来るけど、余裕もった会話ではないから自分では分からないけど、俺との何気無い会話でお客様が喜んでくれたなら嬉しいな。 ま、今は何よりも仕事を覚えるのが先だけどね。 それに嬉しいこともあれば、失敗してしまうことも当然ある。 ある日。 パリーン! ! テーブルから食器を回収しようと片付けをしていたら、力が入り過ぎていたせいか、うっかりお皿を落としてしまった。 当然床で真っ二つに割れてしまい、周囲のお客さんから注目を浴びてしまう。 「あーあ……」 「申し訳ございません……っ」 周囲のお客様にお詫びをしてから割れたお皿をわたわたと片付けた。 うああぁ……やらかしてしまった。 別に気を抜いていたわけでもないのに、手に取ったはずのお皿がするりと逃げて行ってしまった。 慌てて回収したから指先を少し切っちゃったし。 「店長……スミマセン……」 店長から絆創膏を貰い、さらに指に貼ってもらってしまった。 「気にしないでいいよ。そんなシュンってしないで。それより詩くん今日顔色あんまりよくないみたいだけど、大丈夫?」 「え……そうですか?」 「うん。夜更かししないでちゃんと寝てる?」 「全然寝てます!平気ですよ~!元気です!」 「あははそっか。……ならいいんだけどね。無理しないでね?」 「はぁ~い!」 顔色が悪い?そう……かな? 鏡で自分の顔をチェックするけど、いつもの俺だと思う。 バイトを始めてから既に二ヶ月が経とうとしていた。 季節は夏から秋になっていて、学校も学園祭があったりと色々忙しい。 去年あんなにワクワクした学園祭だけど、俺も大人になったせいなのか、少し落ち着いて準備をしたりしている。 楽しいけど、やっぱり玲二がいないといまいちテンションが上がらない! それに霧緒も菊池先輩も今年はいないから、全体的に盛り上がりに欠ける気がする。 こういうイベントの時に霧緒……先輩たちの存在って凄かったんだと改めて感じる。 菊池先輩は学園祭を率先して盛り上げていたし、カリスマ性あったから生徒の士気が全然違った。 霧緒は参加するだけで他校から人が……主に女子が集まったから必然的に盛り上がったし。 黄色い声……凄かったなぁ~当人は全く気にしてなかったけどね。 「ふぅ……」 無意識に小さなため息が零れた。

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