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第481話
バイトは慣れてくると楽しい。
学校も勿論楽しい。
友達とワイワイふざけて毎日を過ごしてるし、元気だしとっても充実していた。
学校では愛しの玲二くんとお昼を食べたり帰ったりして他クラスだけど一緒に行動している。
だけど、うーん……なんだろう?
最近、玲二は頻繁に俺のところにやって来る?気がする。
「うったーーー!」
「おーはいはい」
教室が隣同士だから、休み時間にも来るようになった。「寂しがり屋なんだ僕は!」って言ってる玲二くんは、親友ながらとっても可愛いと思う。
昼休みの時間になると直ぐ、玲二が俺の教室へやって来た。
「うおう……心の友ぉ……」
むぎゅむぎゅ~~っと抱きしめられると、とっても愛おしい気持ちになる。
あ~玲二はあったかいなぁ~~。
「詩、会いたかったぞー!」
「おうおう、お腹空いたな。食堂行く?」
「……んーん。踊り場に行こうよ。僕朝コンビニでご飯買って来たから」
「オッケー」
「あー腹減ったーー!お、屋内ー!萩生のことよろしく頼むぜ!」
「うぎゃっ」
今度はぎゅぎゅぎゅっと後ろから抱きしめられてしまい苦しい。
ちょっと雑に抱きしめてくるのは同じクラスのなっちだ。
「く、苦しいぞ。なっちは食堂行くんだろ?」
「そそ!ゆっぺと待ち合わせしてるのさ!お前は屋内とイチャイチャ飯食って来いよ?」
「うん」
どういう訳か最近はなっちまでも俺に抱き着いて来る。
「萩生に抱き着くとラッキー運が上がるんだ」ってよく分からないこと言ってたけど、こやつはただふざけているような気がした。
俺と玲二は一緒に広めの踊り場へと向かう。
窓があるそこの踊り場は、明るくて人の行き来が殆どないからのんびりご飯が食べられる場所だった。幸い先客はいないようだ。
玲二はコンビニのパンと野菜ジュースとプリンで、俺は作ってきたお弁当だ。
ごま塩がかかったご飯に、昨日の晩御飯の残り物のレンコンのはさみ焼きとか、ウインナーやブロッコリーに、ミニトマト。今朝ばあちゃんが作ってくれた玉子焼きが詰められていた。
「詩……また痩せたんじゃないの?」
「へ?」
「へ?じゃないよ。身体ちょっと薄くなったよ。ちゃんと食べてる?」
「んー食べてるぞ?ほらほら」
そう言いながら、箸で玉子焼きを摘まんでぱくりと食べて見せた。
ばあちゃんの作った玉子焼きは美味しいんだぞー!
と思いつつも、何だかいつもより味が薄い気がした。
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