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第487話

…… ………… は……恥ずかしい。 今さらながら恥ずかしいぞ。我を忘れて公共の場にある公園でめっちゃ泣いてしまった。 「篠島……な、何か……あの……ゴメン……」 「……いいですよ萩生先輩。気にしないで下さい」 「……お、俺…………」 「萩生先輩の目、超腫れてます。ヤバいっすよ。帰ったら冷やした方がいいです」 「う……うん……」 微笑みながら篠島はその場でしゃがみ、サスケの白く綺麗な毛並みを労るように優しく撫でていた。 サスケのキリリとしたブルーの瞳は変わらずだけど、その瞳の中には主に撫でられて嬉しいという気持ちが見て取れた。 うあぁ……可愛いなぁ。 可愛いくてもふもふしてて癒されるその毛並みを眺め、俺はすっかり冷えたタピオカミルクティーをずずずと飲み干した。 「サスケもゴメン。急に知らない奴に抱き締められて驚いたよな。よその犬にそういうことしちゃダメなの知ってるのに……俺って….…本当ゴメン。噛みつかれて当たり前だったのに我慢してくれて……サスケは優しい子だなぁ……有り難う」 「きっと先輩が犬好きだから、それがサスケにも伝わったんだと思いますよ。今はもうすっかり先輩に懐いちゃったみたいだし」 クールな瞳が俺を見てくるとキュンキュンしてきてまた抱き締めたくなってきてしまう。 いつまでもずっとずっと撫でていられるし、ぎゅうぎゅうできる。だけどグッとそれを堪えた。 「……あはは、懐いてくれたら嬉しいな。犬ってやっぱり可愛いよなぁ~」 「シベリアンハスキーは可愛いっていうより、カッコいいって感じだけど、詩には可愛く見えるんだね。僕は……狼みたいだからちょっと触るの怖いなぁ。あ、でも本当見れば見るほど宮ノ内先輩に似てるよね」 「だろー!?霧緒が犬になったらこんな感じだなぁって思う」 「うんうん、僕も思う」 「…………俺は思いませんけど。うちのサスケが宮ノ内先輩に似てるなんて……そんな」 ぶつぶつと苦情を呟く篠島の顔は複雑な表情を浮かべ困っているように見えた。 確かに愛犬が誰かに似てるとか言われても困るだろうし、ましてやあの愛想の悪いあいつに似てるなんて言われたくないよな。

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