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第488話

「篠島、散歩の途中だったのに足止めさせてゴメン。すっかり暗くなっちゃった」 「別にいいですよ。気にしないで下さい。うちのサスケが役にたったみたいだから良かったです。先輩……最近ちょっと元気なかったし。でも少し元気になったんじゃないですか?」 「え」 「それに泣くとストレス取れるらしいですよ。……役にたったのが俺じゃなくてサスケなのが若干不満っすけどね」 「あ、あ~と……篠島ゴメン」 篠島が俺に特別な好意を持ってくれてるのを今さら思いだす。当然篠島は霧緒にいい印象を持っていないのに、サスケを霧緒に重ねてしまい思い切り泣いてしまったんだ。 あ~俺って本当無神経な最低な奴だと思った。 だけど、篠島は何故か笑っていた。 「萩生先輩さっきからゴメンって謝ってばかりっすよ。驚いたけど俺あんま気にしてないですから。マジで。それに……うちのサスケはあんな奴に似てないって俺は思ってるんで。あの宮ノ内先輩がこんなにもこんなにも可愛いわけないですから!ま、今回は特別ですよ」 「……しのしま……っわ」 不意に腕を引っ張られて身体がふらついたと思ったら篠島の腕の中にいた。な、何か俺よりもしっかりした胸板な気がするのは気のせいか? 「あー!篠島~!それダメなヤツだぞー!」 そう抗議する玲二の声が聞こえた。 「これくらい当たり前でしょ。俺だって萩生先輩に抱き締めて貰いたかったんだから。ね、先輩~」 そう耳元で呟きながら頭もよしよし撫でられてしまいどうしたらいいか分からない。だけど抱き締めて貰いたかったっていう言葉を聞いてそうなんだと思った自分がいた。 ……篠島…… 自分の腕を篠島の背中に回してぎゅっと抱き締めてあげる。 「……篠島……有り難う」 「っ……先輩……」 篠島の腕の中は温かい。ちょっと泣きたくなるくらい優しい。玲二の腕の中も勿論温かいしいとおしい気持ちになる。どちらも優しくて嬉しいぬくもりだ。俺と篠島は暫くそのまま二人で抱き締め合う。 だけど、これは俺が欲しいぬくもりじゃない。癒されながらもそう感じてしまい、ゆっくりと腕の力を抜き篠島から身体を離す。 はあ~再確認だなぁ。 篠島は優しくてイケメンだけど、やっぱり篠島は篠島で、俺の可愛い後輩だ。 それ以上の存在にはなれない。 「篠島……有り難う!元気貰った」 俺が今出来る精一杯の笑顔で、篠島と別れた。

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