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第490話

あれから、俺の気持ちは大分楽になった。 あの日サスケを抱き締めながら流した涙には、俺にも分からない成分が入っていたみたいだ。 しょっぱい涙を流したおかげで、それまでもやもやしていた頭がスッキリした。 玲二や周りの奴に心配させていたことに対しても反省だ。俺って本当ダメな奴だなぁ。 前にどんどん進む恋人を意識し過ぎて背伸びして無理やり頑張っていた自分は、親友の思いやりにも気付くことが出来ない奴だった。 でもそんな俺も俺だ。今回それに気がつくことが出来て良かったって思った。 季節は秋から冬へと変わっていた。 12月。風は冷たくなり、着る物も温かい上着は欠かせない。冬だ。寒い冬が来た。 喫茶店のバイトは慣れたせいもあるけれど、以前よりも上手く接客出来るようになったし、要領も掴めてきて仕事も楽しいと思えるようになってきていた。 「詩くん、最近いい感じになったね。笑顔が爽やかで可愛いよ~」 「え、そうですかー?あ、注文入ります。エスプレッソとカプチーノお願いしまーす」 「はい了解。やっぱりさぁ~もうすぐ恋人が帰って来るから自然と笑顔になっちゃうのかね~笑顔に嬉しさが滲み出てるよ」 「ちょっ!店長!そういうんじゃないですよ!仕事に慣れてきたんですー!」 「ふふふ、まぁまぁ~。顔赤いから説得力ないよ。だって今週末だろ?宮ノ内くんが帰って来るの」 「う…………そうですけど」 「楽しみだね。久しぶりに会うから照れくさいんじゃない?良いなぁ~ラブラブで。帰って来たらうちにも顔出してって伝えておいてね。宮ノ内くんの美顔みたいな~……目の保養にしたいからさ~!」 店長は笑いながらてきぱきとカップを用意し、手際よく作業をこなしていく。 そう……店長が言うように今週末についに霧緒が帰って来る。 帰国は当初予定していた日より少し延びて今は12月半ば。 世間はすっかりクリスマスムードで、ここの店にも小さなクリスマスツリーが飾られていていた。 12月って12月だぞ。師走だぞ。 なんと霧緒がいない間に宮ノ内家には新しい家族が増えてしまった! 小さな小さな可愛い家族だ。 まぁ、この話題は別で話すとして、約4ヶ月待ち焦がれた恋人が帰ってくるのは楽しみだし興奮している。 頻繁に連絡取り合っていても生霧緒は久しぶりだ。 前に電話で、 「……会いたい」 って初めて本音を言ったら…… 「俺も会いたいよ」 ……って返って来た。 ぎゃーー!!! は、は、恥ずかしいけど、超嬉しい。 照れくさいけどその言葉だけで俺はハッピーになれた。

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