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第493話

「霧緒、ちょっと痩せた?」 「……さぁ、どうかな」 汐里さんの運転で宮ノ内家に到着し、久しぶりの我が家へと帰って来た霧緒。 霧緒のお母さんの友子さんに盛大なハグで迎えられていた。 そして見慣れたリビングの一角に設置されている白いベビーベッドには、すやすやと眠る赤ちゃん。 「…………小さ」 「ジャジャーン!可愛いだろー!」 「宮ノ内霖(みやのうち りん)くんでーす!」 「霧緒にそっくりー!このクールな目元は友子さんと霧緒の目だよね。既に睫毛が長い!これはまた可愛くなるに決まってる!霖の頬っぺたぷくぷく~!コラーゲン!」 「将来、美男子になるに決まってる!俺と友子さんの子だからね!寝顔も……まるで天使みたいだよね~!」 霧緒の弟の霖はまだ生まれて間もないけど、本当に可愛くて仕方がなかった。 はっきり言ってガチで可愛い!天使!最高! 霖と対面した霧緒は、スヤスヤと眠る霖を眺めて「小さい」を連呼している。眠っている霖の頬っぺたを指で優しく触れる霧緒の表情はちょっぴり優しい。 「何か、命って凄いな。俺に弟が出来たとか不思議過ぎる」 「そうだよね~!凄いよね~可愛いよね~。霧緒が赤ちゃんの時もこんな感じだったんだよね。可愛いかっただろうな~~」 「あのな……」 「やっぱり家族っていいよね」 「……そうだな。荷物置いてくる」 「うん!」 霧緒の荷物を二階へと運ぶのに、俺も一緒に二階へと上がった。 霧緒の部屋に入るのは久しぶりだ。落ち着いたグレー色に統一された部屋の窓の向こうには椿家が見える。俺の部屋は直ぐそこだ。 ベランダを越えれば俺の部屋へと来れてしまう。それくらいの近さ。 付き合いたての頃、霧緒に会いたくてあの窓からお部屋訪問したなぁ。 最近、二年生になってからは窓からの訪問はなくなってしまった。 霧緒は大学生になって忙しくなったし、友子さんや汐里さんがこの宮ノ内家に住むようになったのもあるかもしれない。それに俺、鍵持ってるしなぁ。 自分のキーホルダーには霧緒からクリスマスに貰った宮ノ内家の鍵が入っている。 霧緒がいない時に宮ノ内家には行かないから使ったことはまだない。 使わないけど、俺が宮ノ内家に受け入れて貰えたっていう証で大切な宝物だ。 「詩、これお土産」 「え!マジ!これ何?」 「紅茶。ばあちゃんと一緒に飲みな」 「へぇー!高級そう!何味か全然読めない!でもありがとう!」 「ん。詩、痩せただろ?」 「え、そう?」 「痩せた。バイトきついか?」 「バイト全然!もう慣れたし楽しいよ」 「そか」

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