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第494話

少し両手を広げると、自然と霧緒も両手を広げてくれた。そのままスススと霧緒の胸に収まる。 そっと霧緒の手と腕が俺を包み込んでくれて、好きな匂いがして、胸の奥が緩むのが分かった。 ぎゅっと霧緒を抱きしめて、その存在を改めて確かめる。 うわぁあったかい……気持ちよくて溶けるわ。 「……ぬくもるわ~~~」 「なんだよそれ」 「おかえり~」 「ん、ただいま」 「……やっぱり霧緒だってちょっとスレンダーになったじゃん」 「うん?……まぁ基本そんなに食べるほうじゃないし少し痩せたのかも」 「ちゃんと食べろって言ったのに」 「体調には特に問題ないし。つか、詩の方こそだろ」 「こっちは完全に恋人不足が原因で擦れて捻くれて大変だったんです」 「は?なんだって」 「でも!でも聞いてくれ!俺はグレずにちゃんと更生したから!」 「……そか」 「うん」 頭をよしよしと撫でられる……それでけで超死にそう。 死にそうなくらい嬉しいんですけど! 「寂しい思いさせて悪かったな。俺も毎日詩のこと想ってた」 「……うん」 「詩のエロ画像エロ動画見て心の支えにしてたわ。こっそり撮っておいて良かった。マジ良かった」 「……」 「新作も欲しいからタイプの違うセックス考えよう。コスプレものも欲しいなぁ……詩くんなんでも似合うからな」 「……かかか帰って来て早々に何言ってんだよ!って!何撮ってんだよ~!」 「詩くんのこと、好きだって言ってんの」 霧緒の顔を見たくて顔を上げると、互いの視線が絡む。 そしてそのままゆっくりとキスをした。触れるだけのキス。 目を閉じる寸前に霧緒の長い睫毛が見えて、それだけで嬉しくて泣きそうになってしまった。 綺麗な睫毛をこんな角度で至近距離で見れる。 俺だけが見れる霧緒の睫毛ー!唇の柔らかさも温かさも吐息も全部俺だけのもの! 「ぐあぁあ……」 「……何」 「久しぶりのキスでちょっと心臓がドッキドッキし過ぎてて……」 「死にそう?」 「死にそう」 「じゃ、この先やめる?」 「え!します!蘇ります!」 「……はは」 「へへへ……」 再び唇が重なり甘いキスが続く。 乾いたキスだけでは物足りなくてすぐ舌を舐め合う。 ねっとりと絡めると吐息が徐々に熱を持つ。 唾液が増えてくちゅくちゅと興奮を煽る水音が響いた。 気持ちが良くてぞくぞくが止まらない。 全身を霧緒に預けたくなってしまう……そんな気分になる。

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