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第496話

もうすぐクリスマスがやってくる。 今まであまりクリスマスを意識してなかったけど、去年のクリスマスを霧緒と一緒に過ごしたことで一気に特別な日へと変わってしまった。 去年は福引きで偶然当てた宿泊券で綺麗なホテルに泊まれて、コース料理のディナーも堪能して、背伸びをしたクリスマスだったなぁ。 思い返すと色々と恥ずかしい。な、な、何かコスプレした気がする……うわぁ……マジ恥ずかしい。 だけど……だけど大好きな思い出だ。 だからクリスマス前に霧緒が帰って来てくれて嬉しい。素直にそう思った。 宮ノ内家で過ごした後、二人で椿家に向かう。 久しぶりの霧緒の訪問に、ばあちゃんはとても喜んでくれた。 「霧緒くん、お帰りなさい」 「ただいま戻りました」 「もう霧緒くんがいないときは詩が寂しがって大変だったのよ。良かったわね~詩」 「え?あ!う、うん……」 「そりゃ霧緒くんこんなにイケメンだから向かうでもモテたでしょ?詩ったら浮気したら火炙りだ~とかぶつぶつ言って拗ねてたのよ~」 「んな!」 「イケメンに国境はないものね。ふふ……でもやっぱり霧緒くんはカッコいいわね~!長旅で疲れてるでしょう?どうぞ~上がってゆっくりしていってね」 「は、はい、お邪魔します……えーと、火炙りの予定はないです」 「あらー!良かったわ~~」 「…………もう……ばあちゃん色々余計だって……」 小声で呟いたからばあちゃんには聞こえない。ばあちゃんはニコニコしながら霧緒の返事に満足しつつイケメンの顔を眺めて満足している。 居間でお茶しながら三人でのんびりとした一時を過ごしてから俺たちは二階に上がった。 「霧緒は家で風呂入ってきたもんね。俺入ってくるわ」 「おう、行ってら」 「ゴロゴロしてて」 ベッドの隣に布団を敷いていつでも寝れるようにしてある。 霧緒も何だかんだ帰国したばかりなんだし、身体は疲れているだろう。 ……だから別にエロいこととかしなくてもいい。 ただ一緒にいれればいいんだ。 一緒に寝転がってたわいもない会話をして、ちょっとキスをして抱き合って眠る。 それだけで幸せだって……そう思う。 霧緒のいない寂しい間を思い返してみれば、今何て贅沢なんだろう。 好きな人が側にいるっていいよな。 ずっとこの先も側にいてくれたらいいのに……何て都合のいいことを考えてみたりして。 そんなのワガママだよなぁ。だってこれから先も霧緒の留学は続くんだろうし。 離れ離れになる時はまた来るんだから。 そんなことをぼんやりと考えながら俺は風呂に入った。

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