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第497話
風呂から上がって濡れた髪をバスタオルで拭きながら二階に向かう時、台所で霧緒とばあちゃんが何か話していた。
霧緒は飲み物を貰いに来たみたいだ。
「お、上がったか」
「うん。俺も飲む。水、水~」
そう言いながらペットボトルの天然水をコップに注いでその場で飲み干した。
「ぷはー!霧緒も飲む?」
「俺はもう貰った」
「そ」
「詩、明日の朝ごはんは鮭があるからそれ使ってね」
「うん!オッケー!なめこあるから明日はなめこのお味噌汁にしよう。ほうれん草もあったからそれおひたしにして~うん大丈夫」
「ふふふ、詩はお料理できる子だし、家事の心配は無いわね。ね、霧緒くん」
「え、えーと……はい。有難いです」
「ん?何?」
「今、詩のことを霧緒くんにお願いしてたところなのよ」
「……お願い?」
「やーね!この先のことよ。うちの孫いいお嫁さんになるからよろしくねって」
「はあ?」
ばあちゃん顔を赤くして照れながら何故か霧緒の手を握りしめている。
一体どんな会話してたんだって思い霧緒の顔を見るとただニヤニヤしていてなんだか可笑しな雰囲気だ。お、お嫁さんって……!?
「ちょっとばあちゃんに、な」
「な、何……?」
「詩のことよろしくって言われたから、勿論ですって今話してたところ……だった」
は!?
「な、何話してんだよ!」
「だって言いたいじゃない?うちの自慢の孫よ。それに霧緒くんだって小さい頃から知ってるんだからもう孫みたいなものよ~どっちも可愛い孫だからおばあちゃん嬉しくてついね」
「……ばあちゃん」
「二人が仲良しで本当嬉しいのよ。まだ若いけど頑張ってね。おばあちゃん応援してるから」
「……ばあちゃん」
「はい」
「ほらほらもう夜も遅いからもう寝なさいよ。霧緒くんも疲れてるんだから」
「うん、ばあちゃんお休み」
「お休みなさい」
「はい、お休み」
そう言葉を交わすと、ばあちゃんは自分の部屋へ行ってしまった。
「……な、なんでそんな話になったんだ?」
「詩が俺がいない間寂しそうにしてたっていう話からかな?」
「ま、またそれか……」
「それだ。俺がいない間……悪かったな」
くしゃりと頭を撫でられてしまい、なんて言ったらいいのか言葉がでない。
寂しかったのは本当だけど、恥ずかしいから余り言いたくないし、でもばあちゃんが霧緒に言っちゃたから(これで2回目だ)今更強がることもできなくなってしまった。
「……ばあちゃん……言い過ぎなんだよ……」
とかちょっとむくれながらも霧緒の腕に絡んで肩に寄り掛かった。
あ、
霧緒のいい匂い。
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