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第498話
「……でも寂しそうだったって聞くと俺的にはまぁ嬉しいし」
「むぅ……」
「離れてる間、俺だけじゃないんだなって……思ったし」
「……うん」
二人でそんな会話をしながら二階へと上がった。
移動してる間も俺の手は霧緒の腕を掴んだままで、離れたくないって思いでいっぱいだ。
ベッドを背もたれ代わりにして敷いた布団に二人で腰を下ろす。
帰って来てからほとんど一緒にいたけど、やっと二人だけの時間になった気がして嬉しい。
「へへへ……」
「ニヤけてるぞ」
「だって仕方ないだろ。生霧緒久しぶりなんだから」
「……生って言い方がやらしい感じ?」
「そ、そういうんじゃない……!えーと今日はほらゆっくり休んだ方が良いだろ。機内でも寝れてないって言ってたしっ!ぬわ!」
慌てて弁解したら、まだ乾いていない前髪を撫でられ、おでこにキスをされた。
チュって聞こえたーー!
「……」
「俺だって生詩は久しぶりでニヤけるわ……マジ詩不足だった……」
「……ぷ、あっはは!あーほらほら腕の中においでなさい」
両手を広げると、霧緒が覆い被さるように抱き付いてきて、抱き合いながら布団へと転がった。
全身が重なり、伝わる体温が気持ちいい。霧緒の肩も腕も腰も太ももも足の指先全て感じることができて、この上なく幸せだ。
トクン……トクン……
心臓の音も聞こえる……
「んひぃ……気持ち……いい……」
「…………ン……」
こうして抱き合ってるだけで心が満たされるんだから、本当に俺って霧緒のこと大好きなんだなぁ。
凄いな。
身体が……全身でエネルギーチャージしてる。
霧緒の身体を優しく抱き締め、頭をよしよしして暫くそのままの状態で寝転がった。
霧緒のサラサラとした髪が指通りが良くて気持ちがいい。
いとおしいくて……いとおしくて、何度も何度も優しく撫でた。
……
…………ン?
…………ンン?
おや?
おやや?
こ、これは……もしや……
ふと気がついて、撫でていた手を止めて様子を伺うと……
「スーー……」
ひゃっ!ね、寝息?
寝息が聞こえる!!?
目の前のイケメンは、いつの間にか眠りについてしまったようだ。
しかし長い睫毛がサラサラな前髪によって無造作に隠され、寝顔がよく見えない。
指先でそっと邪魔な前髪を避けると、美しい寝顔が現れ、暫くその寝顔をじっくりと堪能してしまった。
……霧緒……寝ちゃった……
エ、エッチ出来なかったなぁ……
正直言ってちょっと期待してたけど……でもこれはこれで嬉しいかも。
俺の恋人の寝顔はとっても綺麗だ。
本当……カッコいい……
でもでも寝顔は少し幼く見えて可愛いぞ。
あはは……疲れてたんだなぁ。
「お疲れ様」
抱き締めてられていて、動くことが難しいかったけど、何とか腕から抜け出し部屋の明かりをパチリと消す。
そして再びもそもそと霧緒隣へと戻り、寒くないように掛け布団を掛けて横になった。
……
……
あったかい……
あったかいなぁ……
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