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第3話
「お隣の宮ノ内さんちに女の子はいらっしゃらないわよ」
「…」
優しいばあちゃんの言葉の破壊力半端なかった。
…
ああ
残念無念。
「三年になる息子さんが一人いるわ。
霧緒君っていうの。
たまにね、作ったおかずを御裾分けするのよ」
「へーそうなんだ」
「しっかりしてる子だから何かあったら相談するといいわよ?」
「はーい」
ミルク多めのあったかいカフェオレが冷えた体と心にしみる。
相談とかさ…会話できる感じじゃなかったですよ?
すげー怖かった。
ばあちゃん…
お隣さんだからと言って仲良くできるかっていったらとても微妙。
ごめん、ばあちゃん。
俺は気持ち切り替えて新学期が始めるのを心待ちにする。
****
新学期が始まり、自分のクラスにも慣れて来た。
はじめは遠慮がちで静かなクラスが段々慣れてきたのかワイワイ賑わうようになってきた。
俺にも友達ができたー!
隣の席で眠そうにしているやつ。
屋内 玲二
毎晩ゲームに夢中らしくやたら眠そう。
いつも眠そうクマできてるし。
サラサラした長めの髪がやぼったいようで玲二の眠そうな瞳を隠してる。
「玲二おはよ」
「…おはよー」
「また遅くまでゲームしてたの?」
「ん…ーーまぁね」
「好きだねーそのオンライン」
「夜中の狩りが楽しんだよね」
「へーそうなんだ」
「詩もやればいいのに。一緒にやろう狩ろう☆」
「んー俺無理無理そう。ついていけないきっと」
「そんなことない」
頬杖つきながら眠そうにじーっと俺を見る玲二。
「詩。今日も爽やかだねー」
「は?」
「爽やか男子僕好きー」
「はいはい、俺って爽やか君だよね。ってあんまり言われたことないけど…」
「詩は体格もコンパクトにいい感じにまとまってていなーって思う」
「それ褒めてるの?けなしてるの?」
「ちょー褒めてる」
「ならいい」
「うむうむ」
そんな何でもないやりとりをしていると、
「わ!ちょっとー!あれ宮ノ内先輩じゃない?」
「え!え!どこどこ!」
「きゃー!!!」
クラスの女子が何だか騒いでる。
宮ノ内…
ってうちのお隣りの宮ノ内かな?何?人気あるの?
「ま、マジカッコいい!!!」
「初めて見た!!何あんなカッコいい先輩がいるの?!ちょーやばくない?!」
「やー!今日ラッキーじゃない?」
女子盛り上がってるー。
「ね、ね。宮ノ内先輩って誰?どの人?」
「あ、萩生。あれあれ!あそこの通路の脇にいるのが宮ノ内先輩」
「…」
クラスの女子と一緒に窓から覗くと体育館脇の通路に誰が見てもカッコいいだろう生徒が立っている。
背が高くさらさらした髪が印象的で目元が色っぽい。
遠目でもわかるイケメンオーラ!
「なんか…エロくね?」
「エロいでしょ!!カッコいいでしょ!モデルみたいじゃない?!」
「あの隣にいるの彼女かな?」
「えー!マジ!?」
「でも最近フラれた先輩いるらしいよー」
「マジか!とっかえひっかえハーレム状態?」
「えー!でもカッコいいから許しちゃう!」
「「きゃー!」」
女子が鼻血吹きながら盛り上がってる。
へーたぶんその宮ノ内先輩はうちの隣の宮ノ内先輩だろうな。
遠くてちゃんとは見れなかったけど、
背格好と雰囲気からそう推測した。
こう見ると挨拶に行ったときみたいに獣感はない。
あの時はすっごい不機嫌だった気がする。
何があったんだろ。
…
女子が興奮するのをながら眺め…
思った。
うちの隣に住んでるってことは言わない方がいいな…絶対。
心に誓った。
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