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第4話*
霧緒
その日は最悪な日だった。
学校は休みなので一日俺…宮ノ内霧緒 は家で過ごしていた。
親が仕事で殆ど家に帰ってこないので、
家のことは自分でしなくてはならない。
洗濯機回したり、簡単に掃除をしたり。
遊ぼうとかいう連絡がいくつかきてたけど、面倒くさいから無視。
…気が乗らない。
同じ女からやたらくるけど誰だか覚えてない。
??
俺お前と付き合ってったっけ?
そんな感じのメッセージがくる。
はいはいごめんなさい。
誰が誰だかわかりません。
なんでさ…女ってこう都合よく考えるんだろう。
勝手に盛り上がれるんだろう。
まあ、いいか。
午後は勉強でもして過ごそう。
そう思ってると、
ピンポーーーン
…
誰だよ。
そう思いながら玄関を開ける。
そこには
知らない女が立っていた。
…
誰?
「あ、宮ノ内君。こんにちは」
部活帰りか学校に用でもあったのかうちの制服着てる。
ふわっとした髪の女。
「…誰?」
「あ、ごめんね。急に家に来ちゃって。あ、あのね宮ノ内君がチーズケーキ好きだって聞いたの。聞いたっていうかみんな知ってるよね。
で、でね私お菓子作り趣味で好きで…私の作ったチーズケーキ宮ノ内君に是非食べてもらいたいなーって思って今日焼いてきたの。
一生懸命作ったから!良かったら…た食べて」
可愛らしいピンクの紙袋を差し出される。
「あー…あのさ…」
「俺がさーチーズケーキ好きっていうの知ってなら、俺が手作りもらわないってのも知ってるよね?」
「え、…あ…うん……」
「作ってくれたのは有難いけど、俺食べないし…悪いけどもらうことできない」
「え…でも…これは宮ノ内君のために…」
「…悪いね」
「…」
「…」
…ポロポロ
泣きやがった。
あーーーーーー!!!面倒くさい!!ウザい!!
なんで泣いてるんだよ!うちの玄関で!!
早く帰れよ!
つかなんで俺の家知ってるんだよ!!
調べりゃわかるだろうけど、
俺のこと好きなら俺の家に来るな!!
家に来られるの好きじゃないんだよ。
そこまで突っ込まなかった俺に感謝してほしい。
おい、めそめそ泣いてないで早く帰り。
「ひどい…えっ…えっく」
「…だから…ごめんね?」
身を軽くかがめ目線を女に合わせる。
瞳を見ながら優しく囁くと女は顔を赤く染めた。
…効果…ありましたか?
ありますよね。
確信犯ですから。
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