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第14話
午後の体育はだるい。
「詩って意外と運動神経いいよな」
「ん?」
体育で使った道具の片づけをしながら玲二が言う。
「体育祭のリレー選ばれるんじゃね?タイムよかっただろ?」
「あー中学でも速いほうだったかなー?」
「運動系の部活とかはいらないの?」
「はいらないよ。興味ないし。俺結構忙しいし?」
「ふーん」
道具を体育倉庫に片付けて玲二と校舎に向かおうとする。
あれ?バスケットボールが体育館の外に転がってる。
誰だよ出しっぱなしにしたの。
自分たちのせいにされても困るしなー。
「玲二ちょいま…」
って先に言ってて届かない。
しょうがないなーと思いながらボールを回収に向かう。
あれ?
裏の方から人の気配。
誰かいる。
明らかに人の気配がしたので、ボールを脇に抱えながら体育館の裏手を覗いてみた。
…あれ
体育館の壁際に人…
あ
あ
あー!!!!
抱えてたボールが地面に弾み転がる。
こんなところで宮ノ内先輩と遭遇なんて!!
しかも女子と抱き合っております…YO!!!!
腰に手を回してる先輩の手がエロい!!
ボールの音に気が付き二人がこちらを振り向く。
綺麗な黒髪の先輩お姉さまと目があいました!!
「…何?」
先輩お姉さまは声綺麗です。
そんなきっつい言い方しなくても…ってするかこの場合。
きっとお楽しみ中だったんだものね。
でも
落ち着け俺。
俺は悪くない!
体育館裏でイチャイチャしてるほうが悪いだろ。
転がったボールを拾い上げ
「お邪魔しました」
ペコリと一例。
ささっと戻ろうと…
したのにー
「あー!萩君じゃん!体育だったの?」
のんきな空気読んでない声がかかる。
「…えーーーと、…はい…そうです」
「ジャージ姿だったからわからなかったよ♪萩君」
「あーはい…そうですよね」
宮ノ内先輩はいつも通りな感じでにこにこ笑顔で声かけてくれるけど、一緒にいるお姉さまは凍り付くような視線を俺に送ってる。
腕は宮ノ内先輩にイヤらしく絡みついたままだ。
早く消えろって態度。
だよね。
だよね。
宮ノ内先輩はまだ何か言いたそうだったけど、ぺこっと頭下げてそのままダッシュで戻ってきた。
ボールはちゃんと体育倉庫に戻して。
あー
ボールなんか気が付かなければよかった。
気が付いてもほっとけばよかった。
そのまま玲二と一緒に戻ればよかった。
なんだろう。
悔しいのか切ないのか頭にくるのかなんとも言えない気持ちに襲われる。
もやっとする。
やっぱり先輩はモテる。
彼女がいるって当たり前じゃん?
うんうん。
何で俺が気にするの。
なんだろうさっき見た光景が頭から離れない。
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