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第17話*
霧緒
すばり!
隣の家の子。
そういう理由があるから、萩生 詩という名前を覚えた。
…んだと思う。
帰宅し自室のベッドに横になりながら、宮ノ内霧緒はぼーーった思い返していた。
確かに名前を覚えるのは正直苦手だ。
必要ないことは覚えても無駄。
中学から一緒の菊池宗太はさすがに忘れはしないけど、あの女…緑川の下の名前が何かと聞かれると思い出せない。覚える気がないんだ。
覚えておこう…萩生に名前を再確認したときにそう思った。
自然にそう思った。
少し彼に興味を持っていることは自覚している。
彼の俺に対する発言がよくわからないし、ちゃんとわかるように説明してと思う。
俺をほったらかして友達からの電話で盛り上がっていたときは唖然とした。
馬鹿にしてるのかと思ったけど違うってすぐ気がついた。
彼は一つのことにまっすぐ向き合うとそれに夢中になる子なんだと思った。
周りが見えなくなっちゃうみたいだけど!
基本真面目なんだろう…彼の礼儀正しい挨拶や姿勢でわかる。
顔を赤くしながらもまっすぐ見つめる瞳に惹かれる。
カッコいいって言われたら嬉しくてつい顔近づけて意地悪なことしちゃったけど…らしくない。
体育館裏で会ったときは印象的な表情をしていた。
何となく…抱きしめたくなる表情だった。
彼があの時何を思ったのか…
気になる。
彼ともっと話がしてみたい。
好奇心?
「遊びたいって言ってるのに…来てくれないし」
俺が送ったお誘いメッセージの返事はいつも適当スタンプ。
この俺が誘ってるんだけど?
めったにないんだけど…
上手くかわされてる感じ…
この扱い酷くね?
「遊び…来ないかな…」
彼の部屋があるだろう窓を眺める。
ぼんやり考えていると、
~♪~
メッセージ
『先輩!家に居ますか?ピンポンしちゃいますよ』
詩
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