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第20話*

霧緒 鍵をなくしたって聞いて、なぜそんなに恐縮しているのか…。 彼は誰かに迷惑をかけたくないんだろうな。 話を聞くと何となく学校にあるんじゃないかと思ったけど、面白いことにうちのベランダから家に入るって変なこと思いつく子だなーって思った。 普通さ鍵なくして家に入れなかったら、家に泊めてってお願いするものじゃないの? お隣りさんですようち? 頼ってもいいのにね。 「でもさー、危なくない?」 「大丈夫です!俺身軽いから!」 そういう問題? 「先輩お願い!!」 「…」 家の玄関で思い切り頭を下げられてしまった。 どうしようかなー。 今夜はうちで泊まれば?って言うのは簡単だけど変な好奇心が勝っちゃうよね。 「いいよ。おいで」 と、声をかける。 頭を上げたときの彼のキラキラ感。 あ、かわいい。その目いい。 「でも、本当気をつけて」 「はい!有り難うございます!」 俺のテリトリーにようこそ。 二階に上がり俺の部屋に案内する。 「ここが俺の部屋」 当然ここの部屋に誰か来たことはなく。 突然の珍客。 しかし自分の縄張を荒らしにきたこの少年に 特に何のストレスも感じない。 はぁ…なんだろうね。 弟がいたらこんな感じなのかな? そういうのでもないか。 窓を開けてお隣さんを確認。 「窓開いてる?なんか閉まってる感じじゃない?」 「…ちょっと行ってみます」 彼はぽいぽい靴下を脱いで裸足になるとあっという間にひょいっと隣の屋根に飛び移った。 えー!!可愛い顔して何その潔さ! カッコいい男前ー! つか萩君おサルさんみたいだよ? 見た目に反しての彼の運動神経を目の当たりにして興奮してしまった。 窓を色々確認してるけど… 後姿だけど、 テンション下がってるのがわかる。 「駄目だった?」 「…はい…駄目でした」 ベランダから戻った彼はがっかりしながら渡したタオルで足を拭いている。 拭きながら何か考えているみたいだけど…。 うーんしょうがないなあ。 「萩くん、明日おばあちゃん帰ってくるんだろ?うち泊まっていきな」 つい口にしていまった。 「…え?」 「隣なんだし、付き合いあるんだからさ。よかったらどうぞ。萩くんが良ければだけど」 「え、マジで…いいんですか?」 「いいよ。お隣さんじゃん?」 「ご迷惑じゃないでしょうか?」 「ないない、ほら遊びにおいでって言ってたし。歓迎するよ?」 驚いた表情が何とも言えない。 まっすぐ俺を見る目が大きくて綺麗だ。 「先輩っ有り難うっーーー!!!」 うおっ! 抱きつかれた…というよりタックルされた感じ! 不意をつかれて一瞬呼吸止まりそうだったぞ。 そんなに嬉しかった? って凄い嬉しそうにすりすりされた。 「…喜んで貰えてよかった」 やんわり抱きしめて返す。 男のわりには細い身体。 男の子の身体。 彼からは何とも言えないいい香りがする。 もっとクンクンしていたい。 … あーあ慌ててすぐ離れちゃった。 顔赤いよ君。 やっぱりカワイイ子だなって思う。 今夜は何して遊ぼう。

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