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第25話*
霧緒
夜中に喉が渇いて一階に降りキッチンに…
萩生がちゃんと寝れているか気になってリビングの様子を見に行った。
…
ソファにその姿はなく床で掛布団に包まって寝ているのを発見。
寝相悪いのかこいつは?
身体を丸めて寝ていて小さな寝息が聞こえる。
あまり寒くはないしこのままでもいいか。
横向きで寝ている寝顔を覗き込む。
あどけない寝顔は幼くて高校生らしくない。
数時間前の出来事を思い返すと顔が緩んでくる。
ごろごろしながらゲームをしたり。
この家の中をドスバタしながら遊んだとか一度もなかった。
ほんの少しの時間だったのに心がとても満たされた感じがする。
この後輩を見てると不思議な気持ちになる。
この気持ちははじめてで…戸惑う。
前髪をやんわりなでる…柔らかくて気持ちがいい。
すると
「ん…」
彼の眉間にしわがよる。
掛布団が捲られスペースが開けられた。
寝てるだろう萩生がトントン床をたたく。
おいでおいでしてる?
えー
俺誘われてるのかな?
近づいてみるとぐいっと引っ張られ、かけ布団を頭からかけられてしまった。
なにこれ?
頭を抱きしめられすりするされる。
…
あのー
体制がとっても苦しいんですけど?
俺どうしたらいいでしょうか?
こんなアプローチ初めてで戸惑った。
女ならここに柔らかい胸があるんだけどあいにく男でまっ平で。
規則正しい鼓動が頭に響く。
…
…
こいつ
寝てる…
なんなのかね…この子は…
そう思いながらも鼓動が気持ちよくて、
あたたかくて…そのまま俺も眠りについてしまった。
「もっちー…大好き」
その呟きで目が覚める。
もっちー?
誰だよ?
…
誰だ?
温もりを感じながら考えていると鼓動が急に早まっているのに気が付いた。
…
超はえー
今やっと俺の存在に気が付いただろう彼の心臓は面白いくらいうるさいく、ドキドキしている。
そうっと身体が離れようとする…
逃がさない。
「うぁ」
動揺するのが手に取るようにわかってしまいこらえきれず笑ってしまった。
あーもう!
「はぎくん…あったかい」
「あの!あのあの先輩は、ちょっと離れて…」
「嫌」
急な独占欲に襲われ萩生に覆いかぶさった。
もっちーってのが実家の愛犬だと言われ拍子抜けした。
それと同時にほっとした自分がいたのも確かで
このよく理解できない感情がまた立ちふさがる。
気が付いたら吸い込まれるように萩生にキスをしていた。
柔らかな唇の感触を堪能してもっと味わいたくて
やっば…。
…気持ちいい。
一方的に味わってしまった。
抜け殻のように真っ白になってる萩生が可愛かった。
唇が唾液で艶っぽく光る。
大人でもない子供でもないアンバランスな彼が魅力的に見えた。
顔を真っ赤にして、身をよじる…
そして
あ、
足に触れる硬いもの。
俺と同じ男だったって再確認した。
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