34 / 506

第34話

「萩君!」 下校途中に声をかけられ振り返るとそれは宮ノ内先輩だった。 玲二とは別れた後だ。 「萩君…階段から落ちたって?大丈夫!??」 心配そう我をした手首に優しく触れる。 「もうほとんど痛くないんで大丈夫です」 「菊池から一通り聞いた…何か女子たちが萩君に嫌がらせしてるとか………」 「うーん、そう確信があるわけでもないんだけど」 あれ以外に身の回りで変なことが起こっているいるのは確かだ。 さっきも下駄箱に俺の靴の中に砂がたっぷり入っていて玲二が凄い怒ってた。 ワザととぶつかって来たり、物がなくなったり…そんなことが続いている。 「最近萩生にちょっかい出しすぎだ!って菊池に怒られた…反省してる」 先輩が何とも言えない複雑な表情をしてる。 これは怒られたときのわんこと同じ表情!カッコいいのに可愛い! 「…それが原因かはわからないけど、先輩に憧れてたり好きだって生徒は沢山いそうだから…そういうことしてるの見たら面白くないのかも…」 「そうなの?そういうもん?」 「…そうなの」 「…そうか…でもしたくなっちゃうんだよね」 頭を引き寄せられて髪を撫でられる。 ちょっ!なんなのこの人こんなこと普通にできちゃうの? くんくんしないで! 「周りのこととか正直どうでもいいし。あ、でもそれで萩君が嫌な目に合うのは困るなあ」 先輩と二人で下校するのは初めてかも…とか思いながら空を見上げる。 雲がかかってどんより滲む灰色の空。 思い描いていた学校生活とはちょっと違うけど充実してるなって思う。 クラスメイトはいいやつばかりだし。 特に女子が明るくて面白い子ばかり。 玲二と友達に慣れて本当嬉しい。 宮ノ内先輩ともこんなに仲良くなれるなんて思っていなかった。 先輩は目立つ。 横目でちらっと見てもカッコいい…。 … もっと仲良くなりたい。 …もっとどんな人か知りたい。 「…気に食わないなら…果たし状でも突き付けて欲しい…」 「んん?今なんかすごいこと言った?」 「あ、なんでもない…です」

ともだちにシェアしよう!