38 / 506

第38話

近づく先輩を… 気がついたら先輩思い切り突き飛ばしていた。 思い切りといっても力が思ったより入らなくて先輩はよろけた程度。 でも突き飛ばされた事実の意味は先輩には衝撃的だったはず… … !!!! 我に返る…俺!何やってんだ!!!! 「あっ!…ご、ごめんなさい!…」 「…」 ど、どうしよう… … 「…こっちこそ…ごめん…」 はにかみながら先輩がゆっくりと前髪をかきわける。 「ごめんな…萩生の気持ち勘違いして…あー!カッコ悪いな……俺」 先輩のカッコいい笑顔がぎこちない。 ああ、傷つけてしまった。 … 自分の気持ちは出ているのに…受け止められなかった。 どうしても何かがストップをかけていた。 嬉しかったはずなのに!! 何か言えよ!俺っ!!!先輩にちゃんと言えって!! しかしちゃんとした言葉が見つからない。 気がついたら体が勝手に動いて突き飛ばしていた。 「あー…」 暫くの沈黙の後、 「悪い…今日は俺…帰るわ」 「え、でも…」 頭をくしゃっと撫でられる。 「フラれたのに…一緒の部屋で寝れない…だろ?」 … 切ない…そんな顔しないで… 「…じゃ!またな!お休み」 「…おやすみ…なさい…」 バタン 先輩が下でばあちゃんと何か話している。 玄関が閉まる音…。 ああ… 先輩を傷つけてしまった… どうしよう… 胸にぽっかり穴が開いた気がした。 どうしよう 胸が…痛い…

ともだちにシェアしよう!