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第47話

しかしじわじわ怒りが込み上げてくる。 優しいお姉さんが吹っ飛んだ。 「な、ななんで私が怒られないといけないの?!それにそもそもあんたみたいなちまっこい子に本気で迫ると思う!?私はね!宮ノ内のオモチャを横取りしたかっただけよ!あんたあいつに捨てられたんでしょ!!飽きられたんでしょ!!!!」 「…捨てられたとか飽きられたとかじゃないでしょ」 「ウソウソ!げんにもうポイ捨て状態で見向きもされてないじゃない!はっ!いい気味!!」 「…」 「私がそんな可哀想なあんたを拾ってあげようとしたんじゃないの!」 「拾うって…俺物じゃないし」 「物は物らしく拾われときなさいよ!」 「…酷いね。宮ノ内先輩は俺のこと物扱いしないよ」 「あいつだって同じよ!!周りのこと物としかみてないのよ! あんな女たらし!こっちから捨ててやったんだからっ!!!!」 「…」 萩生はじっと私のことを見つめる… そんなまっすぐな目…本当嫌。 「…露子さんさ…まだ宮ノ内先輩の事、好きでしょ?」 「!!!!」 「…ほら図星?」 バシッィ!!! 怒りに任せて萩生の頬を思い切り平手打ちしてやった。 「…てっ!!!!適当なこと…いわないでっ!!」 痛い…叩いた手が痛いのか胸が痛いのか… 萩生は叩かれた頬をさすりながらまっすぐこちらを見つめる。 「…俺は好きだよ…宮ノ内先輩の事」 「…!」 「俺…男だけど…好き。男の俺から見てもカッコいい…それに…先輩は優しい…」 「…」 そんな優しい…悲しい顔しないで… こっちが惨めな気持ちになる… 「好きだって気持ちに嘘ついても苦しいだけだよ」 まっすぐな瞳で見ないでっ! 「ななな何よっ!知った口してっ!!!あんたに何がわかるのよ!…この…馬鹿っ!!!!!!」 ガラッ! 居たたまれなくて保健室を飛び出した。 廊下に出ると入り口のすぐ脇に立っている 人物にぎょっとする。 … …そいつを思い切り睨んで立ち去るしかなかった。 無機質な瞳。 こんなやつが優しい訳がないじゃない。

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