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第56話
「詩…動ける?」
「…ん」
正直…身体全体が重くて痛い。
特に腰…立とうとするとびっくりするくらい腰砕け状態で筋肉が強張ってうまく立てない。
「ごめん気持ちよくて頑張りすぎちゃった」
優しく髪を撫でる先輩の顔はニヤけていて…
全然反省してる感じじゃないのは気のせいだろうか。
「とりあえず、風呂場まで頑張れ。お腹壊しちゃう」
先輩に支えられて風呂場まで移動する。
「お腹?」
「うん、俺中出ししちゃったからそれ掻きださないとお腹痛くなるらしい」
「…へ?」
か、掻きだす…!!!!
何をををっっ!!!
それからひーひー言いながら先輩に念入りに掻きだしてもらった。
先輩は作業中嬉しそうだったけど恥ずかしっ!!!!
そのまま二人シャワーを浴び身体を綺麗に洗った。
あ
身体のあちこちに内出血の後…。
あー…これがキスマークってやつ?
ぼーっと洗面所の鏡の前で確認してると先輩にタオルで髪をゴシゴシ拭かれた。
「俺に愛された印ね…」
艶っぽく言われて顔が赤くなる。
先輩に後ろからやんわり抱きしめられる。
触れる体温が温かくて気持ちいい。
「…これ消える?」
「何日かしたら消えるよ」
「そっか…」
「またすぐつけてあげる」
「!」
「当たり前だろ」
先輩は俺の首筋にすりすり顔をこすりつけ唇を這わせた。
「…」
俺を抱きかかえる先輩の右腕を両手で掴み…
その腕の柔らかそうな部分にがぶりと嚙みついた。
「!」
頑張って吸い上げてみるとそこにはうっすら赤い痕が残る。
おおーこれがキスマーク!
…先輩につけた初のキスマークを見つめながら…先輩に向けて呟く。
「…宮ノ内先輩」
「ん?」
「……俺さ…頭固いから…器用なことできないし…先輩に執着するし…根に持つだろうし…束縛するかもしれない…遊び半分でポイ捨てされるとか…絶対に許さないけど…いいの?」
「…詩?」
先輩がぱちくりするのが鏡越しに見える。
俺の顔はぶすっとしてるだろう。
…
あー!もうっ!!
「だ か ら っ!!!俺とつきあう気があるかって聞いてるのっ!!」
「っ!!!!」
たぶん俺の顔耳まで真っ赤…なはずーーーーー!!いやー!!!
でもちゃんとしないと気が済まないし前に進めない。
エッチしちゃった後でなんですけどっ!
宮ノ内先輩は呆気にとられていたけど、カッコいい顔が緩んですぐにぎゅうっと抱きしめてくれた。
「…つきあう…詩…つきあって…いっぱい俺に執着して…束縛して」
声が震えてる。
「…うん」
「詩…カッコいい…大好き」
「お、おう…」
「俺が言いたかったなぁ…」
「そ…そっか」
「詩…」
「…ん」
「抱きたい」
「!!!!!」
先輩に髪をわしわしされたからわしわし仕返してやった。
お互いボサボサになった髪を見て笑いあう。
向かい合って見る先輩はいつも通りカッコいいけどこの時は不思議と可愛く見えてしまった。
先輩の長い指が俺の顎に触れると胸がドキドキする。
キスをすれば心が満たされた。
あはは
すっごい
好き!
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