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第61話

新しい生活が始まってまさか、 まさか! 俺に…彼氏が出来るなんて想像してなかった。 それにとびきり…カッコいいですはい。 髪の毛はサラサラして触ると柔らかい。 無機質そうな瞳は綺麗でちょっと怖くてでも優しくて… 低めで落ち着いた感じの声色は優しくて俺の気持ちをドキドキさせたり癒してくれたりする。 「あー!駄目だ。想像しちゃ駄目だー!」 「おーい!詩くーんー何か妄想モードに入ってないか?顔が赤いよ」 「…すみません」 昼休み、校庭脇の目立たない古いベンチ。 パックのジュースを啜りながら玲二と座って俺と宮ノ内先輩のことを報告していた。 ポカポカと日差しはあたたかい。 玲二には学校を早退した次の日にメッセージで大まかに説明してある。 友達がまさか恋で悩んだり落ち込んだりしていたとは想像してなかっただろう。 しかも相手が男だったなんてね! 嫌われるかも知れないって思ったけど…でも先にキスシーン見られてるし…正直に伝えた。 「ずっげーびっくりしたけど、…いいんじゃね?」 「…え、え?そんなあっさり受け入れ?お、男同士だよ?」 「うーん、実はさ…うちの弟が…そんな感じだからあんまり抵抗なくってやつ…」 「は?」 俺の目が点になった。 「弟の好きなやつ…男なんだってさー。はは…!おかしいよな」 「おおおお…!」 「…お前もな」 「!!…はい…まさかのまさかでして」 「…好きなんだろ?宮ノ内先輩のこと」 玲二がニヤニヤしながら俺の顔を覗きこむ。 「も、もちろん…」 「宮ノ内先輩、僕にも菊池先輩にもめちゃ牽制してたし詩に対する態度みてると本気っぽいから…まぁ応援する」 「牽制?」 「目の前でキスしたろー?あれ、自分のだから手出すなってことだよ。独占欲」 「…!!!」 「先輩、執着すごそうだから…頑張れよ?でも友達としての詩は僕のだからっ!」 「わー!心の友ー!!」 「でも詩が傷ついたり今までの奴らみたいにしたら僕容赦しないから!」 「うん」 先輩はモテる。 これから色々なことがあるだろう。 恋人になるって決めた覚悟は自分を勇気つける為の…誓いみたいなものだ。 そんな誓いみたいなものは形はないけど必要なものだと俺は思う。 相変わらず俺固いなー。 そして、肝心のあの先輩。 三年の緑川露子。 あの日以来当然なんだけどクラスに来ることもなく、会いに来ることめなくなった。 続いていた嫌がらせも不思議と消えた。 もしかしたら菊池先輩が知らないところで動いてくれたのかもって知れないって玲二が言ってたけど。 「詩のことひっぱたくなんてあの女…ゆるさねえ」 「玲二…あの女って…」 「だって口の中も切れてたんだろっ!?めっちゃゆるさん!」 あの時は全然気がつかなくて切れてることは宮ノ内先輩が教えてくれた。 キスしたときに血の味がしたらしい。 … はずい。 その腫れも今は引いた。 緑川先輩とは色々あったけど、嫌なこともされたけどそこまで嫌いになれない。 だって露子さんも一生懸命だったから…たぶん。 6月に入り湿気を含む風が肌に絡むようになった。 すでに制服も長袖から半袖に衣替えされてる。 今日みたいなカラッとしたポカポカ陽気は減るのかな…。 雨は嫌いじゃないけど…湿気は嫌だな。気持ちが憂鬱になる。 まぁ、憂鬱にさせる原因は他にもあるんだけど。 俺に大きな問題がのし掛かる。 さけては通れない… 中間テスト!!

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