「うちは全く構わないけど、きちんと友子ちゃんとお話してね。せっかく帰国したんだから、家族の時間も大事にしないといけませんよ？」 ばあちゃんはそう言ってた。 うんうん、俺もそう思う。 何ヵ月も会えなかったんだから、この一週間はとても大事にしないといけない。 「…母さんとは…ちゃんと話すよ」 俺の部屋に移動して、二人で珈琲を飲んでる。 あ、俺はカフェオレ。 霧緒は長めの前髪をかき分けながら、面倒くさそうに呟く。眉間に皺がよってるよ。 うーんそんな霧緒もカッコいい…って俺みとれてないで！ 「あのさー霧緒…おばさん帰って来るときは園田さんも一緒なの？」 「んー…大体一緒」 「…じゃあ…二人で帰って来るときは…あんまり家に居たくなかった感じ？」 「…まあ…ね」 「…じゃあ帰ってくる度に家に居たくなくて…帰らないでいたとか？」 「…あー…まぁ…」 「ほー…帰らない間はどこかでお世話に…」 「あーー！！！たっ！たんまっ！！」 焦った霧緒が手で俺の口をふさぐ。 めっちゃ焦ってる。 やっぱり。 その度に女の子のとこ行ってたんだなー…きっと。 過去のことだとわかっていても胸がぎゅっとなる。 抱きしめられた。 「…だらしないよな…俺…」 「…」 「もう…しないから…」 「 あ っ た り 前 だろ」 霧緒は俺の首筋に顔を埋める。 両手を霧緒の背中にまわして、優しくトントンしてやった。 抱きしめる力が強まる。 「詩の匂い…落ち着く…」 「ん」 「匂い…ヤバい…興奮する」 「…」 ちょっと！ 俺のシャツの中に霧緒の手が滑り込んで背中から腰を撫でまわしていた。 「こうしてると落ち着く…」 「…ちょっと…俺は落ち着かない…」 素肌を触る感触がくすぐったい。 「と、とりあえず！ちゃんとおばさんと話すこと！わかった？」 「…わかった…」 霧緒は俺の手をとりキスをする。 … あ 園田さんにされたところ… 「…あいつぶっ飛ばす」 「いやいやいや！しなくていいから！」 じぃっと暫く俺の事見詰めていた霧緒は、スマホを取り出しおばさんに電話をかけた。 「…あ、俺。…今夜から詩のところ泊まるから」 「ああ…ちゃんと聞いたよ。はいはい…わかってるよ」 イライラしながら話してるけど、そんなに嫌なのかな…？俺にはよくわからない。 「はぁ？！晩御飯一緒にだぁ？…食わねえよっ！」 ！！！とっさに霧緒のスマホを取り上げる。 「食べます食べます！一緒にですよね！？もちろん！！」 「あら？詩くん？汐里くんが晩御飯作るんだけどね…詩くんもどうかしら？」 「え、俺もいいんですか？」 「大歓迎よ！うちのバカ息子も連れて来てくれる？」 「はーいもちろんです！」 「やーん！嬉しいわー！じゃ、またあとでね！」 「はい！失礼します」 … … ﾁﾗ わー！！！すっごい怒ってる！！怒ってる俺の彼氏がこっち見てる！！！ 「ば、晩御飯…皆で一緒に…食べーる…でーすよ？」 「うーーーたーーーーー！！！」 押し倒され首をしめられ、ほっぺたを抓られ殴る蹴る…はなかったけど…ほっぺたじんじんする。 「はーーーーーーー…お前何してんだよ」 「…ご、ごめん」 「…」 「…でも」 呆れ果てる霧緒にぎゅっと抱き着いた。 「俺も一緒に行くから…行こう」 「…」 俺の背中に腕を回され優しく抱きしめられる。 「…わかったよ。晩飯だけな」 「やった！」