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第79話

「霧緒くんの反応がすごく面白くてさ。凄いな…感情むき出しだ。今まで彼はこういうのなかったから…素直に嬉しいんだよ」 「こういう…の…ですか?」 「うん、ご飯もそうだけど、会話とかこんな怒ったり焦ったりする霧緒くん見たことなかったし。いつもね、クールな感じでほとんどしゃべらなかったかな。ま、母親の彼氏って立場だから歓迎なんてされるわけないのはわかってるんだけどね」 笑いながらもちょっぴり悲しそうな園田さんの顔が印象的だった。 霧緒との距離を縮めたいって気持ちが使わってくる。 俺は宮ノ内家の家族ではないけれど、少しでも力になれたら… 「…霧緒も園田さんと仲良くなれたらいいと思ってると思います。ただその仕方がわからないだけなのかも。うん……園田さんの魅力、霧緒にもわかってもらえると思います!」 両手で拳を作り、ガッツポーズをして見せた。 園田さんはくすりと笑う。 「ありがとう…詩くん。やっぱり詩くんは美味しそうだね」 優しくハグされる。 「…何やってんだよ…」 気がついたらすぐ横に霧緒が立っていた。 目が座ってとっても不機嫌そうだ。 「霧緒」 後ろから強引に腕が回され、引き寄せられる。 「お前は何されてんだよ…」 「え、ええと…ハグかな?」 「…ちっ…こいつにはもう近寄んな」 舌打ちしたー! じたばたしても霧緒の腕から抜け出せない。 園田さんは楽しそうにそんな俺らのやり取りを見物している。 「あのな!近寄んなじゃないだろ?」 「こいつは…ヤバいんだよ」 「ヤバくないって!園田さん本当は霧緒にハグしたいんだって今言ってた!園田さんっ!霧緒にしてやって!!」 「ええ!いいの!?霧緒くん!」 「はぁ?ちょっ…!!」 ノリよく園田さんが両手を広げて霧緒に思い切り抱きつく! 「ば、馬鹿!やめろよっ!!」 園田さんが霧緒に抱きつき、霧緒が俺に抱きついてっていう?よくわからない状態になった。 「ずっとこうしたかった~!」 嫌がる霧緒にスリスリしてるイケメン園田さんがちょっと可愛い。 ちょっとでもいいから二人の間にある壁を薄くしたい。 「…あんたたち…何やってんの…」 呆れた顔した友子さんが腕を組ながら立っていた。

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