93 / 506
第93話
宗太
インターフォンを押すと、
な、な!何故!菊池先輩がうちに!?
……って顔で、屋内が出た。
屋内の服装は下はスウェットで上はTシャツ姿だ。
「あのさ~屋内がさ~詩は来ちゃ駄目だー!って言うから俺が来たんだよ。お邪魔しまーす」
「え!せ、先輩?ちょっと待って!」
「大丈夫!屋内の部屋が樹海だって萩生から聞いてるから、片付けなくてもいいよ?部屋どこよ」
あいつら、絶対俺に行かせるつもりだったよな。
まったく何考えてるんだか。
「こ、こっちです…どうぞ」
玄関から一番近い部屋が屋内の部屋だった。
結構間取の広そうなマンションだな。
「あれ、意外と片付いてる…と言うかキレイ?」
「昨日大掃除したんです。暇だったから……いつもは汚ないんです」
机に本棚にベッドにパソコンにゲーム機。モニターが3つもあるよこの子は……
「あの、お茶入れて来る」
「いいよ用意して来たから!はい」
ポンっと鞄から出したのは、炭酸飲料2本。
さっきコンビニで買ったものだ。
「ありがとうございます…」
「どういたしまして…」
「…」
「…」
「…」
「…で、どした」
「………」
「やなーい」
「……ちょっと…色々ありまして…」
屋内はベッドに腰掛け、俺は床に座り壁に寄り掛かる。
屋内は下を向いたまま、黙りだ。
はーーーーーやれやれ手かかかる。
何があったのか知らないけどさ。
「ほら…ここ…座って」
手招きして俺の目の前に座らせる。
「…はい」
「…」
屋内にじりじり近づく。
俺の両足の間に、屋内が体育座りしている状態だ。
「…俺に話せる?話せない?どっちだ」
「…は、話します…」
「どした?」
「…凄く嫌な事があって。気持ちが悪くて、学校行く気にならない」
「嫌な事?」
「あ、逢沢先輩に……キスされた」
ともだちにシェアしよう!