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第105話

放課後一緒に帰るべく待ち合わせした霧緒は、いつもの霧緒に戻っていた。 ……気のせいだったのかな? じーっと霧緒の顔を覗き込む。 初夏の風を受けて霧緒の髪がサラサラなびいて綺麗だった。 整った顔はいつ見てもどこから見てもカッコいい。 目元がどうも色っぽくて本当エロいんだから。 「何?キスしたいの?」 「い、いやいや!そうではないです!!」 「ふーん。詩……汗かいてるな」 霧緒が俺の首筋の汗を指先で拭う。 「え、あー俺って汗っかきなんだ」 「代謝いいんだな。ちゃんと水分補給しろよ?」 「うん」 そういう霧緒はほとんど汗をかいていない。額にちょっと滲む程度だ。 「霧緒はあんまりかいてないな…」 「これくらいの陽気ならまだね。帰ったらシャワー浴びろよ。今日は色々と汗かいたからな」 うわ!ニヤニヤうっとりしてますけど? は、恥ずかしい…… 「あ、そうだ俺……今夜は自分ちに戻るわ。ちょっと集中して進めたい問題集があるんだ」 「え、そう?……大丈夫?」 「んーまぁたぶん。あいつら明後日帰る予定だしさ、耐えられると思う。詩んちにも世話になりっぱなしだしな」 え!わ!霧緒が成長した発言をしてる!!凄い!偉い!! 友子さんも汐里さんもこれは嬉しいはず!! 「そっか!うん、あと少しだしだしな!」 「ん」 でも今夜は一緒に寝れないのか~って思うと、胸がきゅってなって苦しかった。 この数日間が特別贅沢だったんだ。 すぐ隣なのに。 隣の部屋なのに……その距離が遠く感じた。

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