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第106話*
霧緒
そろそろ0時になろうとしていた。
汐里が作った夕飯を食べ、風呂に入ってからはひたすら机に向かっている。
集中しているとさらに頭が冴えてくる。まだまだいけそうだし、眠気もない…
詩はそろそろ寝たかな?
あいつ夜更かしできないから、10時過ぎるとあくびがとまらなくなる。
カーテンの隙間から隣を伺うと、30分前まで明かりがついていた部屋は暗闇が支配していた。
ちゃんとタオルケットかけて寝てるかな?
寝相悪いからそのうち頭がベッドから落ちそうになる。あれで起きないって凄い。
タオルケットも何回も掛けてやったりして手間はかかるけど、無意識にすり寄ってくる姿がめちゃくちゃ可愛い。
いとしくてたまらない。
そんなことを思うだけで顔がにやける。
今夜も一緒に寝たらまた抱きたくてとまらなくなるし。
学校でしただけじゃ全然足りない。
詩の身体のことを考えずに無視して突っ走る自分がいる。
それでも何か満たされない感じがして、大分ガッツいてる…
はぁ…情けない。
切り替えて再び集中する。
コンコン。
…
カチャ
「おこんばんはー」
…
「…何だよ」
どっちだと思ったら、母親じゃない方。
「霧緒くん、お勉強頑張ってるかなーって思って?」
ニコニコしながら俺の部屋に踏み込む母親の恋人、園田汐里はシンプルでデザインのよい黒のスウェットとVネックの黒のTシャツ姿。
ムカツク野郎だけど母親が選んだだけあってイイ男だ。
「入ってくんなよ」
「イイじゃんよー照れるなって!……ふーん、結構難しい問題解いてんじゃん」
「…」
「別に急いでやらないとヤバい学力でもないだろうにね」
「…何か用」
「彼と喧嘩でもした?」
「…するわけねーだろ」
「へー…じゃ何で今日こっち?」
「だから勉強したいからってさっきも言っただろ」
「そんな感じにはお父さんには見えないけどねー」
「…」
「詩くんって、すっごーい可愛いくて、とっても美味しそうだよね?」
!!!
「お前っ!!…いい加減にしろよ」
ムカついて汐里の胸倉を掴み、睨みつけた。
「本気にすんなよ。冗談だってガキが」
「…」
こいつの余裕のある顔は神経を逆なでる。
人を子ども扱いしやがって…
「…悪かったマジで冗談だ。聞き流して~!じゃあ、俺寝るわ!お や す み!」
「うえ」
汐里にやたら強めにハグをされ、嫌なのと苦しいのとで息が詰まった。
おまけに頬に「お休みのチュウだよ」とか言いつつキスしやがった!!!
枕を思い切りドアに投げつける!
あいつは何がしたかったんだ!くそ!!
はぁ……
ペースを乱された感じがして面白くなかったけど、気持ちを切り替え再び机に向かった。
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