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第107話
次の日。
庭の雑草取りをしていると、来客があった。
「詩くーん!こんにちは!」
「園田さん!こんにちは。どうしたんですか?」
「おばあ様は、お留守かな?」
「はい、今ちょっと外に出てます」
相変わらず園田さんはカッコいい。
霧緒の綺麗なカッコよさよりも、園田さんは男らしいキリっとしたカッコよさがある。
大人だからかな?
「これなんだけど!詩くんにもらって欲しくて持ってきた!使って!」
「?」
園田さんは手にしていた紙袋を俺に渡してくれた。
中身をみると、調味料から色々な食材が綺麗に梱包されてはいっている。
「え!これを?」
「そそ!もう使わないんだ。家に置いといても駄目になっちゃうし、霧緒くん絶対使わないだろうから」
「でもこんなにいいんですか?な、なんか…色々高そうですけど」
外国産っぽいハムとかチーズとか野菜とか色々だ。
「いいのいいの!ていうかもらってくれると本当助かる!押し付けちゃってごめん!」
申し訳ない感じでお願いされてしまった。
使ったことのない香辛料とかがあって、なんかわくわくしてしまった自分がいる。
「とんでもないです!じゃ、お言葉に甘えていただきます!大事に使わせていただきます」
「よかった!有難う!助かるよ!」
「明日の便ですよね?」
「明日昼本社寄ってから、空港に向かう予定だよ」
「そうですか、何か寂しくなります。友子さんにも園田さんにも会えてよかったです」
「……詩くんは本当いい子だね。食べないけど食べたくなるね」
「??」
「今さっき霧緒くんに詩くんのところに行くって伝えてから来たんだよ」
「はい」
「あははすっごい嫌な顔されちゃった!」
「そ、そうですか」
「詩くんはさ、霧緒くんのこと好き?」
「え…」
「好き?」
「な、何」
「…」
「何を急に…何……いきなり……」
カァァァァ…
「わ、わ、わわわかった!ちょっと!詩くん!顔真っ赤だよ!」
園田さんが急にそんなことを聞くもんだから、びっくりしてしまった!
改めて聞かれると恥ずかしくて、素直に答えられない!
「はぁ~~つられて俺まで恥ずかしくなって来ちゃったよ」
「す、すみません……」
「でも、ちゃんと答えてくれる?」
「あ、あの……す、スキ…で…す…」
「そっか。それはよかった」
「は、はい」
あああ、恥ずかしい。
なんでそんなことを聞くんだ、園田さんは。
「うーん、そうか。でもそれは当たり前だもんな」
?
何だろ?
「霧緒くん最近おかしいよね?気がついてる?」
「あ、はい…」
「イライラしてたりらしくない行動とってみたり、見てて情緒不安定な感じかな」
「はい」
「詩くんはさ、最近好きとか愛してるとか、そういうの霧緒くんに言ってる?」
「え」
「愛情表現ってやつ。霧緒くんは結構露骨に言うタイプでしょ?」
「は、はい。そうかも」
「あははやっぱりな。かーわいー!詩くんからはちゃんと彼に言ってあげてるのかなー?」
「…そりゃ当然」
そりゃそりゃ?
霧緒はいつも好きだの可愛いだの抱きたいだの色々言ってくるから、心臓がいくつあっても足りないくらい言ってくる。
そう言われてみれば、俺っていつ言ったかなー?
ええとこの間は、やっと「霧緒」って名前を呼べるようになったんだけど。
好きってあの時…言ったかな~言ってないか。
あ、緑川先輩に言ったか?
っておいっ!それ本人じゃねーし!!
…ん
あれ?
っていうか………
「あの俺……い、今まで?霧緒にそういうの……言ったことないかも……です」
「……え…?ええええ?」
園田さんがムンクの叫びみたいな顔になっていた。
Oh No!って言ってますけど、まずかった?
難しそうな、呆れた?ような顔した園田さんは、しばらく何か考えてるみたいで最後に大きく溜息をついた。
「は~~~~~~原因は…詩くんか…」
「?はい?」
それから暫く園田さんから色々話をしてもらった俺は途方に暮れたのだ。
ま、マジか…
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