109 / 506
第109話
もやもやした気持ちは段々イライラに変わって来てそんな自分が嫌になる。
霧緒は受験生なので予備校も始まり自然と忙しくなってきたようだ。
家でも遅くまで勉強してるみたいだし。
勉強嫌いじゃないって言ってた奴の集中力、ぱないす。
つーか勉強しすぎだろ。
一緒に帰る日が途端に減った。
連絡は毎日取り合っているけど、ぶっちゃけ寂しくて仕方がない。
いつもの霧緒なら、無理やりでも時間作って会おうとするんだろうけどなぁ…
今月の7月28日は霧緒の誕生日なんだけど。
その日に直接「おめでとう」って言いたい。
それが出来るかどうかは多分俺次第。
「菊池先輩もやっぱり忙しい?」
「うん、まあ少しずつって感じだけど」
学校が終わり、俺と玲二は駅前のファーストフード店でお茶をしていた。
今日は玲二が家に泊まりに来る日なのだ。
「受験生って大変だな……」
「そうだなー」
「一年生は気楽だな」
「本当だねー」
コーラを啜りながら、二人でボーっとする。
「今夜は玲二くんの話をいっぱい聞きたいからそろそろ行くか」
「なんだそれ!僕だって詩に聞きたいこと沢山あるんだから」
「最近の玲二くん、青春してるって噂ですよー」
「どこからの噂だよ!」
「俺俺~!」
「あの……すみません」
「え」
「日ノ原高の生徒さん…ですよね?」
「うん、そうだけど」
いきなり女子学生二人が声をかけてきた。
「わー!あ、あのあの、よかったら友達交換しませんか?」
「え」
「フレンド登録……だめですかぁ?二人とお友達になれたら、あの……嬉しいんだけど」
「え、え…?」
急に言われて返事に困ってると…
「あー!ゴメン!こいつこいつ!めちゃくちゃ束縛する恋人いるから無理なんだ!」
「…え、そうなの?」
「そうなの!ほらほら~!早く行かないと遅れるから!ゴ、ゴメンねー!」
玲二にグイグイと引っ張られ二人で店の外に出た。
「何ボーっとしてたんだよ!あれナンパだよ逆ナン」
「え、そうなの?」
「明らかにそうじゃん!あんなのホイホイ相手にしてたら宮ノ内先輩に怒られるよ!」
「てか、玲二も聞かれてたよ?」
「は、僕?んなことあるわけないだろー!さっきから詩のことチラチラ見てたよ!あの子達」
「いや、だから多分さ、玲二のことも見ていたと思うよ。二人って言ってたし」
「え、そうなの?」
「うん」
玲二はどこか抜けてるとこがあると思う。
そこがまた可愛いんだけど。
あれ?
んーあそこを歩いているのは、霧緒ではないか…?
反対側の歩道を霧緒と知らない制服の奴とが並んで歩いてた。
「あ、宮ノ内先輩じゃん。今から予備校かな」
「ん、そうだと思う。駅前って言ってたから」
「宮ノ内先輩と一緒にいるやつ。知らないけど東校の制服だね。偏差値結構高いよ」
「ふーん…」
別にいいけどさー
いいけどさ。
「…詩、顔が膨れてるよ」
「んなことない…」
いつも一緒にいれる訳ないんだからさ、気にすることでもない。
「玲二帰ろう…」
「ん、行こうぜ。詩気にするな」
でもさ、やっぱり面白くないよね。
ともだちにシェアしよう!