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第110話
「凄ーい!詩ん家って純和風!渋い!」
椿家を見て、玲二が叫んだ。
「で、こっちが霧緒ん家」
「おー!先輩ん家っぽい!!超オシャンティ!」
うんうんだよねー!!
イイねーそのリアクション!
俺もそう思う!
「僕友達の家にお泊まりって小学生以来かも。何かわくわくする」
「うん、俺もわくわくする!」
霧緒の時とは違うテンションになるのが新鮮だ!
ばあちゃんに挨拶してから二階の俺の部屋に…
お互い部屋着に着替える。
「で、で、隣が宮ノ内先輩の部屋なの?」
「そうこっち」
窓を開けると、向こう側にはキレイなベランダが見える。
「へー!本当近いね!マジ飛び越えて向こう行けそう!あ、僕は無理だけど」
玲二は目をキラキラさせてる。あまり運動は得意じゃないって言ってたな…確かに体育は苦手みたいだから玲二には危険かも。
霧緒の部屋の窓はカーテンが閉まっていて当然暗い。今日玲二が家に泊まりに来ることは霧緒にも報告済みだ。
ちなみに霧緒…やっと最近玲二のフルネーム覚えてくれましたー!名前覚えるの…本当苦手みたいでびっくりだよ。
「こんなに近いってイイね。会いたい時にすぐ会いに行けるじゃん!」
「え、あ…まぁそうなんだけどね。最近はちょっと気を使ってる」
「あーそうだよね。しばらくは…仕方ないよね」
「うん、それは玲二も同じだろ?菊池先輩だって忙しくなるから…ゲームとか一緒に出来てるの?」
「毎日は出来なくなったなかぁ。たまに生き抜きでやってるけど、それもそのうちなくなるんだろうね…」
「そっかー玲二俺たち二人…たくましく生きて行こうな…」
「うん!」
夕飯と風呂も済ませた俺たち。
まったりのんびりゴロゴロタイムだ。
「ええ!!あの時見てたの?」
以前ファミレスで4人でやった勉強会の時のことを話した。
「霧緒が見たのは黙ってろって言うからさ…菊池先輩ってさ、ちゃかされるの嫌なんだってさー」
マジな時は…特に…らしい。さすが伊達に親友やってないな。
「へー…でもあの時は面白半分でやってただけだよ。ちゃかすも何も…」
「えーと…だ、だからあの時から菊池先輩は玲二のこと好きだったんじゃないかと…思う…訳で…」
「えええっ!!?マママジで!?」
こ、こんなに鈍い奴…初めて会ったわ…屋内玲二恐るべし。その時のことを思い返しているのか顔が真っ赤だ。
「で、菊池先輩とつき合うことになったんだろ?」
「う、うん…好きって言ったし」
「…好きって言ったの?玲二が」
「え、言ったよもちろん…つい口からポロってでちゃった感じだった」
「…ポロリかーそんな感じで言えたらイイんだけどなー。俺…霧緒に…その…好きって言ったことなくて…」
「え…そうなの?」
「は、はい」
「言ってないのに何でつき合うことになったのさ?」
「えーと…俺とつき合う気があるのかー!って言ったような…」
「ええっ!詩が言ったのそれ!?宮ノ内先輩に!?」
「は、はい…」
「詩、男前だなー!」
「そう?」
そうなんだよな。
きっとそうなんだ。
好きって普通に言えばいいんだよな。
はぁ…
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