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第114話
コンビニに、牛乳を買いに外へ出た。
明日の朝は、ホットケーキを作ろうと思ったんだけど、肝心の牛乳が切れていたのだ。
うお……これは買いに行くしかないよね。
椿家を出たとき、隣で人の気配がしたから振り向くと、霧緒と駅前で見かけた奴が!なんと霧緒ん家の前で、抱き合っているではないか!
って、よく見たら抱き合っていたっていうのは一瞬で、どうやら霧緒は具合が悪いようで、ふらついたのを奴が支えたみたいだったけど……
……酷く酷く嫌な気分がした。
……何やってんだ……あいつ……
見たところ結構具合悪そう。
霧緒大丈夫かな?そう思いながら霧緒が自宅に入るのを確認する。
「何?君だれ」
知らない学校の制服の奴。
うわー冷たい言葉。
「あの……えーと」
「はぁーあんまりさ、宮ノ内の周りうろうろしないでくれるかな?彼今勉強で忙しいし、スッゴい迷惑なんだよね?」
「え」
「もしかして君、駅前からつけて来たとか?何ファンなの?」
「いやそんなんじゃ。キ、宮ノ内先輩帰って来たのかなぁって」
「だったら何?君、宮ノ内の後輩?帰ってきたら何なの?ふん、彼は俺がちゃんと送ったから、ほらほらもう帰りなさい」
「あの、貴方は誰ですか」
「君に答える必要ないよね?」
「……そう……ですよね」
言い方が上から目線でムカつくんですけどー!!
身長差でリアル目線も上からで!更に効果は倍増!!
俺はその場をダッシュで立ち去った。
ムカムカ!
あいつは何なんだよ!
牛乳が入ったコンビニ袋を下げ、すたすたと夜道を歩く。
ムカついてコンビニまで無駄にダッシュしてしまったじゃないか!
誰だよあいつ!霧緒の保護者か!!
俺、うろうろしてねぇし!
ファンでもねぇし!
彼氏だし!!
もうさすがに嫌なあいつも帰ったよな。
宮ノ内家の前で一人溜息をついた。
さっきのシーンが蘇って来て、心がズキズキする。
家に入る前に霧緒の部屋があるを方を見上げると、すでに明かりは付いていないので、そのまま寝てしまったようだ。
ふん……
具合よくないならそう連絡しろよ。
何で頼って来ないんだよ馬鹿!
あー
最近イライラしてばっかだな俺……牛乳飲むか。
空を見上げても星なんか見えない。
都会の空は夜も明るい。
星が見えても見えなくても、今の俺のイライラは解消されやしないんだけど。
そうだ……
こういう時はもうふて寝しよう。
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