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第127話
ゆっぺ
「なぁ萩生、宮ノ内先輩ってどんな先輩よ?」
「ん?何だ坂口」
坂口由宇(さかぐちゆう)
俺、ゆっぺの名前ね。
ちなみに
秋山絵里(あきやまえり)がニコラ。
仲島七空(なかじまなつ)がなっち。
「宮ノ内先輩って学校で有名だけどさー、実際どんな人物かわかんないからー。そんな先輩と仲良しな萩生教えてよ」
「んーキリ先輩のことか」
「ほら!その呼び方からして仲良し醸してる!やだ萩生!」
「やだって何だよ。まぁ、隣近所で交流あるし。な、仲はいいけど……うーんマイペース?な感じ」
「ふむ、そんな感じする。あとは?」
「あー、人の名前覚えるのが苦手らしい…」
「それ何か聞いたことあるかも!もっと他に」
何だろうって悩む萩生の顔は、何を思い出しているのかわからないけど、コロコロと表情が変わって面白い。
肌が健康的で綺麗だなー。
「な、萩生ってニキビとかできないの?」
「へ、何だって?ニキビ?」
「うん、萩生肌荒れしなそうだよな。つるぴかじゃん。最近の男子高校生はお肌のお手入れも気になるんだよね」
「んー俺代謝いいせい?わからないけど、ニキビとかはあんまりできないかな。手入れもあんましてないけど。あ、でも日焼け止めは最近ちゃんと使ってる。キリ先輩がうるさいから」
「へー!宮ノ内先輩が?あー確かに日焼けしてるイメージないな」
「そう、毎日塗らないとダメだって怒られた。俺あんまり気にしないし、面倒くさいから適当に話流してたら、この間すっげー塗りたくられて!紫外線なめんなとか言ってさ、超ベタベタ!酷くね?」
「えー!マジ!すっげーな!」
「しつこいからちゃんと塗るようにしたけどさー、言い出したら引かないし。あ、キリ先輩はしつこい!どう?」
「おう、新鮮情報ありがと!面白かったわ」
新情報ゲット!
「塗りたくられたって、良く考えたらちょっとやらしくね?」
さっきの萩生との話を思い返してひとりぶつぶつ呟いた。
と言うことは、萩生はわりと先輩とスキンシップしてるってことだよな。うむ……萌える。
「何うんうん言ってんだよ、ゆっぺ」
前の席に座りなっちが話しかけてくる。
「なっち~日焼け止めって、普段どこら辺に塗る?」
「へ?んー日焼け止め?顔とか腕とか後、首筋とか」
「だよなー」
俺はなっちの手をとり、手首から腕まで日焼け止めを塗るみたく触りまくってみた。
「お、おい……くすぐったい。何やってんだ、これ何プレイ?」
「しいて言うなら、日焼け止めプレイ。エアで塗ってる」
「あ、なーる……ってゆっぺ、おいやめろって!あ、そこ敏感なの……いや」
「ここ?くすぐったい?いひひひ」
「って人で遊ぶなって!二の腕は結構くすぐいぞ!ほれほれ!」
「!!!ひゃひゃひゃ!!なっちやめ!やめれなっち!!もうやめっ!ひゃひゃひゃ」
調子こいてたら、逆になっちに腕からわき腹を擽られてヤバかった!
擽られるのはマジだめ!!
涙が出てきてしまい、やっとなっちの手が離れた。
「そんなにくすぐったかった?泣いてるゆっぺかわいー!」
「かわいい言うな。はぁ……はぁーマジキツイ。何の話してたんだっけ、忘れた…」
「日焼け止めプレイ」
「あーそうそう!宮ノ内先輩のね!うん」
「お、宮ノ内先輩がどうした?」
「んー?日焼け止めをさ~」
と、声がした方を目を擦りながら振り返った。
??
あ、明らかに一年じゃない人物が立っている。
そして明らかにめっちゃカッコいい。
にこにこした人懐っこい顔の先輩が、俺たちのすぐ近くに立っていた。
「あ、菊池先輩」
なっちの口からその先輩の名前が零れた。
ぬおお!?
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