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第135話

「おいやめろよ」 「ああ?っなんだよ!お前っ!」 「嫌がってんだろー全然その気ないってわかんじゃん」 「お前には関係ないだろっ」 「すぐそこにさー交番あるけどーお巡りさん呼んじゃおうかなー?」 だ、誰だろ。茶髪の男子。 年は十代だと思うけど、私服姿でよくわからない。 「……ちっ」 「あ、それかやる?俺、喧嘩強いけど」 「うぜぇな……くそ」 そうぶつぶつ言いながらナンパ野郎は諦めて行ってしまった。 はぁー良かった……マジ良かった。 キレるところだった。 「は、やらねぇのか。あーいう自信のない野郎ムカつくな」 茶髪が呟く。 髪型……左右非対称なのって、アシンメトリーって言うんだっけ? 俺より背が高くて、雰囲気はちょっと遊んでる風だ。 「あの、ありがとうございます。助かりました」 「別に、見てたらムカついて言いたかっただけだから。あー俺ナンパする気ないからな」 「はい」 「早く帰れよ。ナンパ待ちしてんじゃないだろ」 「はい、そんな気……ないです」 「……」 本当にそんな気さらさらないんだよ!聞いてくれよ!って茶髪くんに愚痴りたい気分だった。 それもこれも霧緒のせいであって、俺は被害者で本当早く帰りたい。 「ふーん、確かに声かけたくなる気もわかるな」 顔を覗きこまれ、目がバッチリ合った。 好奇心に溢れたまっすぐな視線で、あわわ気まずい。 焦ってうつむいたその時、後ろから誰かに抱きしめられた。

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