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第139話

うあああ…! こいつは皆が見てる前で、平気でキスできる男だった!と、再確認中。 は、恥ずかしい!皆に見られた。 目の前にあの他校の奴がいて、ガン見されている。 万が一バレたら不味いし、うつ向いてお辞儀だけした。 スゲー視線を感じるー。 早く帰りたい。 肩に回された霧緒の手が、俺の腰や腕を撫でる。 ここぞとはかりにアイツとか周囲の奴らに見せつけていた。 何欲求不満なのか俺の彼氏は… 「ほら、帰るぞ」 「ん」 やっと二人で家に向かって歩きだした。 はーーーやっと帰れる。 「お疲れー」 「あ、足が痛い」 「抱っこしてやろうか?」 「嫌、結構でーす」 夜の街を手を繋いで歩く。 ……滅諦にできないことを今している。 女装させられて待たされてナンパされ、頭にきたけど、今とっても貴重なひと時を過ごしている。 繋いだ手をきゅっと握ると、握り返してくれる。 う、嬉しい…… でも…… 「俺、ナンパされたぞ」 「マジか」 「3人から声かけられてビビった」 「……」 「こいつらは阿保なんじゃって思った。あ、さっきの奴は見かねてナンパ野郎を追い払ってくれた奴だから」 「予想以上の仕上がりで嬉しいけど、危ないな」 「ん?」 「俺と一緒にいるとき限定にしような」 「なにが」 「女装」 「もうするかっ馬鹿!!」 真っ赤になって怒る俺に、ごめんとか言って宥めるけど、こいつ絶対反省してない! 顔がニヤニヤしてんだってば!! 「詩、アイス食う?」 「食うっ!」 「今日のお詫びだ。何個でも買ってやる」 「え!!マジで!?やった!!」 俺って単純!って思っちゃうけど、これは素直に嬉しい! 暑いし疲れたし蒸れてるし! でもこれで許したわけじゃないからな。 コンビニに寄って食べたいアイスを沢山買ってもらった。 風呂上がりのアイスって、最高美味いよなー! って、 素直に風呂にはいれるわけでもなく。 「ちょ………んん…っ」 口の脇から唾液が零れ、顎につたう。 濃厚なキスはさらに深くなってお互いの舌が口内で絡み合い、くちゅくちゅと音を立てて貪るように求められれば嬉しいし、それに答えたくなる。 イヤらしいエロ顔……好き。 腰がうずいてくる。 霧緒ん家に着いてアイスを冷凍庫にしまったとたん襲われたわけですよ。 まぁ……そんな予感してたけどさ。 リビングのソファに、押し倒されてしまった。 「ウィッグは邪魔だな」 ポイっと外され、頭が軽くなる。 「あはは、髪の毛ペタンコ可愛いな」 「仕方ないだろ」 ぶーたれる俺の汗ばんだ額を霧緒の長い指が撫でる。 「これ脱いでから、風呂に行こうぜ」 「…えーと?そりゃ脱ぐけど」 「あ、俺が脱がせるからじっとしてて」 にっこりと霧緒が微笑んだ。

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