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第146話*

霧緒 クーラをつけてベッドに横になる。 すぐに心地好い冷えた風が部屋を満たして気持ちがいい。 隣に寝ころがっている詩は、人のベッドの匂いをクンクン嗅いで喜んでいた。変な奴… でも俺の胸に顔をうずめてくる姿は阿保みたいに可愛くて…ドキドキする。 たまらず詩の背中に腕をまわし柔らかい髪を撫でた。 「な、霧緒…誕生日何か欲しいの…ある?」 え、俺の誕生日…急に欲しいものを聞かれて戸惑った。 「…んー何だろう…」 これと言って欲しいものもないし…エロ詩が欲しいって言ったら怒られそうだし… 「へへ…じゃぁ…俺の…おまかせコースで…いい?」 コースってなんだ?って思ったけどあえて突っ込むのをやめた。 「…ん、おまかせ…で」 「うむ」 顔を上げて俺の顔を眺める詩は無邪気に笑っていた。 キメが整っていて滑らかな肌は綺麗で小さな鼻が愛らしい。 くりっとした丸い瞳は眠そうだ。こいつは黒目が大きいんだな… 思わず見とれ微笑む詩にキスをした。 …あ こいつ、寝た。 笑いながら寝るなんてある意味凄い。 その寝顔はいつもの詩で、先ほどまで見せていたエロさの欠片もない。 弾力あるほっぺたをつねって鼻先を人差し指で押して遊ぶ。 阿保な顔。 ホレたらそんな顔も可愛いんだもんな。 そう思いながら詩を抱きしめ瞼を閉じた。 目が覚めると、薄い光の中横で詩がまだ寝ている姿が目に入る。 仰向けに両手を上げて万歳をしているような寝姿でピクリともしない。 へそが丸見えで日焼けしていない白い肌が目に入る。 その腹に手を当てるとひんやりとしていて冷たかった。 風邪ひくっての…… クーラーを切り窓を少し開けると、既に暑い外気に嫌気がさした。 今日は特に暑そうだな。 窓を閉めてベッドに腰を下ろすとベッドの軋みで詩が寝返りを打つ。 横向きに背中を丸める姿は猫や犬みたいだ。   「ん…」 もぞもぞし眠そうな瞼が開く… 「あれ…?…おは…よう?」 「ん、おはよう。今7時前」 「そか……学校休み最高~!うあ"!」 身体を起こそうとした詩が呻く。 「身体…痛い?」 詩の細い腰に手をあて、優しくさする。 「い、色んなとこの筋肉が悲鳴をあげて…る…」 「昨日いっぱいしたからな。風呂場だったしエロかったし」 「!エロは関係ないだろ…」 「……」 「余韻に浸んなっ!」 ボスっ!っと枕が飛んできた。 「悪い。今日外暑いし無理するな…って寝ぐせすっげぇぞ」 詩の髪は柔らかいせいか寝ぐせが酷い。 ついでに寝相も悪いから余計に毛があちこちの方向に癖ができていて、その仕上がり具合に関心してしまう。 「毎日の事なんでいいんですっ」 「あとで直してやるよ」 「ん」 跳ねた寝ぐせを撫でながら髪に唇をあてると、同じシャンプーの香りが鼻孔を掠めた。

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