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第147話

俺のボサボサの髪にキスをする霧緒。 鏡で確認しなくてもどれくらいのボサ感か、寝癖のプロなら大体わかる。 そのまま寄りかかると霧緒の体温が伝わってきて気持ちいい。 悔しいかな俺よりしっかりした身体してて羨ましい。二年後は俺もこんな感じになってるかなぁ…… あ、そうだ。 「そういえば俺さー。夏休み入ったらばあちゃんの手伝いあるから、日中は家を留守にするから」 「手伝い?」 「んーバイト。ばあちゃんがお世話になってるお花の先生のとこ」 「へー…どんくらい?」 「3日間」 「OK」 「それが終わったら、料理教室の手伝いも2日お願いされたから、合わせて5日間」 「……料理教室って、何するの」 「先生の手伝いだって。おじいちゃんおばあちゃん孫と一緒に作るお料理教室。…詳細は…」 「イヤ、大丈夫」 夏休みに何か短期でバイトしたいって言ってたら、ばあちゃんが知り合いからその話を持ってきてくれた。 自分で探してたけど、知らないとこには預けられないって言われてしまった。 ばあちゃんはそういうの心配するんだよな~。 過保護だよな。 「ふーん…まぁ、椿のばあちゃん経由なら大丈夫かな?ヘタにその辺のバイトに手を出すより全然いいかも。時間とか場所とか後で教えて」 「う、うん」 「それと、終わったらちゃんと連絡しろよ?」 「お、おう…」 もしや…お前も過保護か? バイトをする理由。 もち霧緒の誕生日プレゼントを買いたいからなんだけどさ!バイト上手くみつかってほっとしてる。 プレゼントって何がいいか迷うし気のきいた物も思いつかないから受験生には文房具か? 文房具山盛りあげるか? そんな感じでいたんだけど…… ある店の前を通り過ぎたら視界に入ったものがあった。 一歩二歩バックしてガン見した…凄く…しっくりきた。 この色…イイなぁ。 デザインも今っぽいけど悪くない。 これ……あいつに似合いそう。 張りついて見てたら中から店員のお兄さんが出て来て、色違いもあるよって教えてくれた。 色違いのやつとかデザインが少し違う物があったりしてどれも感心するくらい素敵だった。 でもやっぱり、一番最初に見たやつがいいかな。 「自分用かな…?それとも」 「あ、俺のじゃないです!俺より背高くてカッコいい奴の!」 「あはは…そっか。君ならさ、こっちの方が似合いそうだと思ったんだよね」 そう言って店員のお兄さんが見せたのは、淡い優しい色味のやつだった。 おー!俺が持ってるのに近いカラーだったから感心してしまった。お兄さんやるな流石プロだな。 「そんな色の俺持ってます」 「あ、マジ?やっぱり」 「だからこういう渋い色の方があいつ顔派手だから似合うと思って…」 「ふーんカッコいいあいつか……なるほどね。これ残り1点だけどどうする?」 「え!これ1点で終わりですか?」 「そう、人気でもう入荷予定ないんだよね」 「…マジ…ですか……」 あいにくそんな金は今持ってないし、無理かなぁ…… スッゲーイイと思ったんだけど…… 「えーっと、お取り置き……とかする?いつ頃払えそう?」 「え、ええと7月末……とかになると思うんですけど」 「イイよ。お兄さんがお取り置きしておいてあげるよ!」 「え!マジですか?!」 「君、面白いくらい凄ーい真剣だからさ」 「あ、有り難うございます!」 ってことで、俺のおまかせコースは完成したのだ。 本人に聞いてもさ、具体的に欲しい物とかなさそうだし……なんて思ってみたり! うん!これがイイ!

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