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第153話*
霧緒
詩が自信ありげに、誕生日プレゼント……おまかせコースだっけ?を渡してきた。
シンプルなショルダーに入った大きい箱。
どんなものかと若干心配したんだけど……
ここのブランドメーカー知ってるな。
正直驚いた。というか、関心した。
もろに俺好みの色合いの浴衣だった。
鼠系統の色、藍がかった鼠色に淡い茶色、各色を立てラインにうまく組み合わせた全体的に今っぽいデザインの浴衣だった。
ところどころに麻の葉模様が入っていたりするのが、浴衣ならではの日本の伝統的な雰囲気を醸していて良い。帯は白に紺色のシンプルな和柄が入っているものだった。
「あるショップの前を通った時に、この浴衣見かけて、絶対霧緒に似合うって思って、お取り置きさせてもらったんだ。期間限定で毎年浴衣セットを販売してるって言ってた」
「へぇ……詩意外とセンスいいのな。すっげーいい色じゃん。俺、ここの服何枚か持ってる」
「そうなの?センスいいだろー!霧緒は顔が派手だから、これくらい渋くてしっとりしてるやつが似合いうと思ってさ。俺の浴衣は実家から持ってきてるし、霧緒これ着て夏祭り行こうぜ!」
嬉しそうに笑う詩がメチャクチャ可愛いくてどうしよう。
ぶっちゃけ浴衣なんて全く興味なかったけど、不思議とそれが魅力的に見えてくる。
つか、顔が派手ってなんだよそれ。
でもまぁ俺の為にこれを選んでくれたこと自体が嬉しい。
ヤバい…
「うん、お祭り行くか。有難う詩。凄く嬉しい」
「よかった!気に入ってもらえて」
「そうだ、俺からも詩に上げるものがあったんだ」
「え」
きょとんとする詩の前に、水色の箱を置く。
「これね、詩へのプレゼント。開けてみて」
「う、うん」
箱を開けて中身を確認する詩。
白い薄紙の中を見て沈黙し、混乱しているのがよくわかる。
ついついニヤニヤしながらその様子を眺めてしまう面白れぇ……
「何……これ……」
ぴらぴらひらひらしたものを取り出しながら、詩が呟く。
そして中に入っていた小さいカードを見つけると、見る見る顔が赤くなり……
「なんだよ!これっっ!!!!」
キレた!
カードには……
HappyBirthday!霧緒!
誕生日にこれを是非「詩くん」に着せてあげてください。
マンネリ化した君たち二人に、素敵な一夜をお届けだよー!
絶対絶対詩くんこれ似合うからネ!!
萌え萌えキュンキュンして!
あなたのパパ園田汐里より
*着せたら写メして送ってね!絶対必ずだよ!!
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